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2017/03/27

APCが検証環境にも「エッジを利かす」ことにこだわる理由

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2016年に実施した検証環境リプレースの際、SDS(ソフトウェアディファインドストレージ)製品である「IzumoFS」を用いて検証用仮想基盤を構築した。

元々の構成では、ストレージ機器を用いていた。
なぜ同じ構成ではなくあえてSDSを導入したのか。
この案件を担当したエンジニア名田がその背景を語る。

上司のオーダーはただ一つ「エッジの利いたモノを作れ」

「老朽化した検証環境でいろいろと不具合が出ていたんで、リプレースをすることになったんですが、
上司から言われたことは”コストダウン”でも”工期短縮”でもなく『エッジの利いたモノを作れ』でした」

なぜ検証環境に”エッジ”を求めるのか?

「APCが掲げる”NeoSIerミッション7”の一つに『常に、技術にこだわり続ける』というのがあるんですが、例え検証環境の構築であっても、それを忘れるなってことですね。
請負い案件では、新しい技術やプロダクトを採用することって難しいんです。やってみたくてもなかなか試す場がない。だから今回のオーダーは大変でしたが、エンジニアとしてすごくワクワクしました」

当初は予算も明確に決まっておらず、『予算は内容次第』と言われていた。
検証環境にかける費用は”設備投資”だけではなく、エンジニアへの”成長投資”でもあるのだ。

悲劇から生まれたアイディア

「とはいえ、『ハードウェア更改してハイパーバイザをバージョンアップすれば、十分なんだよなぁ』っていう”ユーザー視点”の壁を越えられず、最初は苦労しました」

“エッジの利いた検証環境”の構想を練っているその最中に、悲劇が起きた。
既存環境にある共有ストレージが故障し、データが消し飛んだのだ。
共有ストレージは冗長化していなかったが、RAID10を組んでいた。
しかし、1本故障後のRAIDのリビルド中に、他のHDDがリビルドの負荷に耐えられず、連鎖的に他のHDDも故障。データが飛んだ。

「コスト的にストレージの冗長化は難しいので、同じことを繰り返さないためにも、同じ構成でハードウェア更改してもダメだなって。そう思ったときに『ストレージ製品を捨ててSDSに置き換えたらどうだろう?』って思いついたんです」

SDS化することで、安価なコモディティハードウェアによる「RAIDに頼らない冗長化構成」をとることが出来る。
また、ハイパーバイザ用のサーバに積んでいるHDDをSDSでクラスタ化することで、SAN(ストレージエリアネットワーク)を構成する必要もなくなる。

「これって当時はやっていた”ハイパーコンバージドインフラストラクチャ”っぽい構成で、『エッジが利いてるぞ』って思って上司に提案しました」

選定理由は導入事例数よりも『エッジ』

ハイパーバイザはXenServerを使うことに決まった。システムの肝になるSDSは何を使うか。

XenServerを使う以上、NFSv3・Software ISCSI・Hardware HBAでの接続が必須となる。
「GlusterFS」や「EMC ScaleiO」も候補に挙がったが、いずれも『面白くない』という理由で却下。
色々探している中、Japan IT Weekへの参加を切っ掛けに”IzumoFS”に出会った。

「実は”出雲”旅行から帰ってきた翌日に”IzumoFS”に出会ったんです。個人的には奇跡の出会いだったと思っています(笑)」

検証をして、まず感じたのは「シンプルさ」だった。
インタフェースが極めてシンプルに作られている。ゆえにオペレーションも直感的で知識が無くても扱えるくらいだ。

「サービスページでもコンセプトとして”シンプル”を謳っているんですが、本当にそれを追求出来ていることに感心しました。自分たちもプロダクトを作っているんで、”コンセプトを維持すること”の難しさは身に染みているんで尚のことですね」

また、秘密分散やインライン重複除去、積極的リバランスを行わない仕様など、当時あった他の製品にはない機能も『エッジが利いて』いた。

「当時”IzumoFS”はまだCR版だったので、当然導入事例もありませんでした。でも『これから爆発的に成長するかもしれない』っていう予感がありました。こういう新しくて面白いプロダクトの発掘も『技術への拘り』ですよね」

こうして”IzumoFS”の導入が決まった。

マニュアルよりも使えるのは『積み上げた基礎知識』

CR版を使って環境を構築し、そこで出てきた不具合などをIzumoBASE社にフィードバックして、GA版の開発に役立ててもらった。まさに”DevOps”だ。
リリース前で公開されている導入事例もなく、製品マニュアルも整備されていない状況での構築に苦労はなかったのか?

「当然簡単にはいきませんでした。でも何とか構築できたのは、ファイルシステムやストレージの基礎知識をきちんと持っていたからだと思います。自画自賛っぽいですけど(笑」

名田が技術を習得するときに大切にしているのは『基礎を飛ばさないこと』だという。

「新しい製品や技術も、既存の技術の集合体だったり延長だったりすることが多いと感じています。普段から基礎部分をすごく大事にしてきたから、今回もやりきれたんだと思います。これまでの自分のスタンスはやっぱり間違ってなかったなって改めて実感しました」

検証環境の構築はひと段落したが、今後もこのような”エッジの利いた取り組み”は継続するのか?

「私のミッションの一つは”先進技術のキャッチアップ”なので、スタートアップであってもプロダクトやサービスが面白いモノであれば、積極的に活用していきたいし、今回のように共同検証とかもどんどんやっていきたいと思っています。
こういう仕事に興味がある人がいれば、気軽に声をかけてください。先進サービス開発部でお待ちしています!」

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