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2018/10/15

実績がないならつくればいい──APCが挑むエンジニア育成のベストプラクティス『TUF研修』

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「エンジニアのキャリアパスを実現させるには、今の研修だけでは難しい」──そんな危機感から、APCでは、2018年から「TUF研修」という実践型研修をはじめました。これまでの課題をどう解消しようとしているのか。今回はこの「TUF研修」をご紹介します。

エンジニアのキャリアで大切なのは、何を“経験”したか

APCには「APアカデミー」という社内大学制度があります。

技術・経営・マネジメントなど、100以上の講座を有するこのアカデミーは新卒社員から管理職まで、レベル別の講座が用意されています。

特に技術系の講座については、社内のトップエンジニアたちがカリキュラムをつくるため、一般論だけではなく実践の中で培われたノウハウも組み込まれた独自の講座となっています。

しかし、技術戦略を担うIaC技術推進部長・飯島英和は、この講座内容だけでは、エンジニアが望むキャリアパスを実現するのは難しいと考えていました。

飯島 「既存の技術研修は、これから技術を習得しようとする人の取っ掛かりとしては、とてもよいカリキュラムです。しかし残念ながら、その研修だけではお客様から“実績”として認めていただくことはできません。

これは、APアカデミーのカリキュラムに限らず、社外の有償の研修や技術資格も同じ。即戦力を求めるお客様が重視するのは『何を勉強したのか』よりも、『どんな運用を、構築を、設計を経験したのか』という“実績”です。

では実績を積むために必要なものは何かーーそれは“案件”です。しかし、案件は実績がないとなかなかいただくことができないんです」

この悪循環を断ち切るために、仮想的な案件をつくろう──

そんな考えのもと企画されたのが「TUF(Technical Use for the Future)研修」でした。

目指すのは、システムを構築してサービスを展開できる人材育成

TUF研修の目的は「職務経歴書に記載できる実績づくり」。

その目的を果たすため、研修の進め方は「これをこうすればこうなります」というチュートリアル的な内容ではなく、「こんな感じのものをつくってください」と要件だけを提示し、そのプロセスは一切示さず、受講者自身がとことん自分で考えて手を動かすようなカリキュラムになっています。

技術分野は事業計画や世の中のトレンドなどを鑑みて決められ、2018年度は「AWS」「Kubernetes」「自動化」をターゲットとしています。

AWS研修チームの講師を担当する咲山健一と児玉有希は、カリキュラムについてこう話します。

児玉 「私たちのチームは『AWS研修』と銘打っていますが、AWSの使い方を習得することをゴールとしているわけではありません。『システムを構築してサービスを展開すること』がゴールで、その開発プラットフォームとしてAWSを使っているという感じ。

なのでこの研修では、『AWSを触れる人』ではなく、『AWSを使ったSIができる人』が育つようなカリキュラムをつくっています」

咲山 「研修開始前にひと通りカリキュラムはつくったのですが、実際にはじめてみると予定通り進まないことも。必要があれば補講を追加したり、ボリュームが足りなければ内容を追加したりと、受講生の進捗や理解度を見ながら調整しています」

研修期間は半年~9カ月で、その間、講師や受講者が集まる集合研修的なことは月に1回程度。

それ以外はすべてSlackを用いて質問やレビューを行ない、成果物やREADME.mdはGitで提出することをルールとしています。

児玉 「インフラエンジニアと開発エンジニアでは、仕事を進めるうえで使うツールも異なります。なので開発寄りの仕事をしたいのであれば、そのエンジニア文化に慣れておくべきだと考えて導入しました。技術だけではなく、仕事の仕方も身につく研修にしたかったんです」

TUF研修のカリキュラムはトップダウンではなく、こうした最前線で活躍するエンジニアたちの強い思いをベースにつくられているのです。

経験の少ないエンジニアのために、キャリアパスへの近道をつくる

1期生としてこの研修を受講中の神保は、2018年10月現在Windows系サーバの運用保守を担当しています。

受講を希望したのは「自分の技術的な強みを確立したかったから」と神保は言います。

神保 「プロフェッショナル職になることと、自社サービスの開発に携わること。これを直近で目指すキャリアパスとして考えはじめたとき、『自分には技術的な強みがない』ということに気がつきました。

APアカデミーの既存の技術研修は受講していましたが、これだけでは“強み”と言うところまで技術力を高めることは難しい。『これからどうしたら良いんだろう……』そう悩んでいたときに、TUF研修の募集があることを知り、意を決して応募しました」

研修課題には想定工数が設定されていますが、受講生によってはその通りに完了させることが難しく、2倍以上の時間を有するケースもあります。

神保のように意欲を持って参加したにもかかわらず、時間の確保が難しく途中離脱を余儀なくされる受講生もいました。

この厳しい研修を継続するモチベーションは、どこから湧いてくるのでしょうか。

神保 「そもそも自分で立候補しているということと、研修終了後に、この研修で得たスキルを使った案件への参画を目標としているといった点です。

また、資格取得やこれまでの研修とは異なり、TUF研修の成果は『実績』として職務経歴書に書くことができるので、自分のエンジニアとしての評価を向上させることができます。

つまり『着実に思い描くキャリアパスに近づける』ということなので、大変でもがんばろうと思えるんです」

これまで理解できなかった技術書が理解できるようになったり、先輩エンジニアたちとの技術談義に加われるようになったり。まだ研修期間は途中でありながら、自分の成長を実感しているようです。

TUF研修はエンジニア育成のベストプラクティス

今、エンジニアの層は二極化しています。

経験のあるエンジニアや能力の高いエンジニアには、より高度な経験が積めたり、先端技術を使ったりできる仕事が回ってきます。

一方で未経験や微経験のエンジニアは、そういった仕事に携われるケースは多いとは言えません。

このギャップを埋めるために、経験の少ないエンジニアたちは資格を取得したり、いろいろな勉強会に参加したりしているにもかかわらず、その努力はなかなか報われないのです。

飯島 「即戦力が求められる今、この現象は社外でもよく聞くようになりました。TUF研修はこの状況を打破する、ひとつのベストプラクティスになると思っています。

いずれはお客様から『こういう経験を持ったエンジニアか、TUF研修を受けたエンジニアを』とご指名いただけるようになるといいですね」

そんな期待を背負い2018年4月にはじまったTUF研修も、この10月で半年が経過しました。

受講生の成長が感じられるようになってきた一方で、課題も顕在化してきました。

中でも特に悩ましいのが、受講者が研修に掛ける時間の確保です。現状、受講者は平日の業務後や休日を使って課題に取り組んでいます。このため、業務の負荷が上がると研修を完遂することが難しくなってしまいます。TUF研修のPMOを務める市村幸一郎はこう言います。

市村 「この『TUF研修』は “APCの命綱”と言ってもいいくらい重要な取り組み。それを本人のやる気だけに頼るのは無責任ですよね。組織として、会社として、受講時間をどう確保していくのかを早急に考えていきたいと思っています」

はじまったばかりでまだまだ課題のあるTUF研修。

しかし、組織が一丸となって取り組み続けることで、エンジニアは努力した分だけキャリアの可能性が広がり、組織は新たな案件を受注できるようになり、世の中からはエンジニア不足が解消される……。そんな「三方良し」を実現できる施策になると、私たちは信じています。

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