2025/06/04
インフラエンジニアのホントのところ #4|インフラエンジニアがいないとどうなる?
ITインフラって、「なんだか難しそう」「地味で大変そう」と思われがち。
でも実は、社会を支える根幹にある、とてもやりがいのある仕事なんです。
そんなリアルをお届けするPodcast 「インフラエンジニアのホントのところ」。
MCにはベンチャー女優の寺田有希さんを迎え、当社の副社長 永江耕治と採用責任者 小山清和が、現場・経営・採用の視点から語ります。
今回のテーマは「インフラエンジニアがいないとどうなる?」。
インフラエンジニアがいないと、現代社会はどうなってしまうのか。
ITインフラのプロである二人が、今回はあえて、徹底的に想像してみました。
すると、そこにはとんでもなく怖い世界が広がっていました……!
ITインフラに関わる人も、そうでない人も、現代社会を生きる皆さんに聞いていただきたい内容です。
<目次>
1.オープニング
2.利用者目線:当たり前の日常が一瞬で崩壊
3.顧客目線:ビジネスが停止し、莫大な損失が発生
4.インフラエンジニア目線:進化が止まり、経済が停滞
5.クロージング
1.オープニング
寺田:言葉は有名でも、何かと知らないことが多いインフラエンジニアの世界。キャリアや将来性、魅力など、ついつい隠れがちなインフラエンジニアの本当のところを、業界のプロであるエーピーコミュニケーションズの永江さん、小山さんと共に徹底解剖していくポッドキャストです。
永江:MCを務めます、エーピーコミュニケーションズ 取締役副社長の永江です。どうぞよろしくお願いいたします。
小山:同じくMCを務めます小山です。エーピーコミュニケーションズでは採用責任者として業務にあたっています。よろしくお願いします。
寺田:そして同じくMCを務めます、ベンチャー女優の寺田有希です。さて、第4回が始まりました。
前回は「ITインフラの重要性」についてお話を伺いました。改めて「感謝しなきゃ」と感じましたが、お二人はどうでしたか?
永江:自分で話してみて、改めて感じたのですが、ITに限らずインフラに関わる人たちはなかなかスポットライトを浴びづらい面があるのかなと思いました。
寺田:「家の基礎工事と同じ」というお話もありましたが、立派な家が完成した時に「この家の基礎工事はすごいね!」とは、なかなかならないですもんね。
永江:そうですね。その業界の人であれば、その重要性が分かるということはあると思います。エンジニアもある程度の経験があれば、その大切さを理解しているので、そういう意味では業界内では価値を分かってもらえているかなと。
寺田:小山さんはいかがですか?
小山:私はエンジニアという職種がすごく好きなので、彼らの仕事の重要性や、やっていることの魅力をもっと伝えていきたい、という気持ちがより高まりました。やはり、こうして言語化して話すことはすごく大事だと前回を通して感じましたね。
寺田:そうですよね。私たちサービス利用者にとっても、言語化してもらえるのは非常に重要だと思いました。
小山:自分たちがやっていることの価値は、自分たちではなかなか気づきにくいものです。これはどの分野でも同じで、第三者から言われて初めて、自分たちの価値に気づくことはよくありますよね。
寺田:今日もその価値を伝えていきましょう!ということで、本日のテーマは「インフラエンジニアがいないと、どうなるの?」です。
前回、ITインフラの重要性が分かったところで、今回は「もし、ITインフラを支えるインフラエンジニアがいなくなってしまったら?」という未来を、お二人と想像していこうと思います。
2.利用者目線:当たり前の日常が一瞬で崩壊
寺田:ITインフラを支えるインフラエンジニアがいなくなると、サービス利用者の目線ではどうなってしまうのでしょう?
永江:一番想像しやすいのは、自分のスマホが使えなくなることでしょうか。ニュースも見られないし、SNSもできない。
それだけでも大変ですが、実はそれだけではなくて。例えば、交通系ICカードのサーバーがダウンしたら、駅の改札には長蛇の列ができると思います。
寺田:切符を買って乗るしかなくなる、ということですか。不便ですね。
永江:はい。それに、今はキャッシュレス決済が普及しているので、それが使えなくなると大変です。現金を持っていなかったけどどうしよう、という状況も考えられます。
インフラが落ちてしまうと、オンラインショッピングはもちろん、レストランでのカード決済もすべてできなくなりますよね。そうなると、現金を持ち歩き、ネットショップは使えず、買い物はすべて店舗に行くしかない。デリバリーも全部なくなりますね。小山さん、他に思いつくことはありますか?
小山:娯楽もほぼ機能しなくなりますね。オンラインゲームはできませんよね。あとは、連絡手段。多くの人が連絡手段として使っているSNSが使えなくなるので、「あの人にどうやって連絡すればいいんだっけ?」と困る人が続出するのではないでしょうか。
寺田:確かに、最近は相手の電話番号を知らないことも増えました。連絡先の交換はLINEだけ、ということも多いですし。
小山:自分の電話番号すら覚えていない人もいますよね。
寺田:これは…生活がかなり厳しくなりますね。
小山:言語化するたびに辛い気持ちになりますね(笑)。
永江:昭和の時代は、それが当たり前の生活でしたけどね。
寺田:私は平成元年生まれなので…(笑)。
小山:永江さんとは少し世界が違いますね(笑)。
3.顧客目線:ビジネスが停止し、莫大な損失が発生
寺田:では次に、インフラエンジニアに発注している「顧客」、つまり企業目線ではどうでしょう。
永江:例えばECサイトを提供している会社であれば、システムが1時間ダウンしただけで、規模によっては数億円の損失になるのではないかと思います。また、動画配信サービスなどで障害が頻発すれば、「ここのサービスは不安定だ」と解約率が上がり、年間の収益に何億円もの影響が出る可能性もあります。
寺田:1時間単位でそんな事態になるのですね…。そう思うと、もういなくなるなんてありえないですね。
永江:もし自社のインフラエンジニアだけがいなくなれば、顧客は安定している他社のサービスに流れてしまいますよね。
小山:そもそも、何か問題が起きても自分たちでは対応できないわけですから、事業が完全に停止してしまう。下手すると、会社自体が倒産するということもあり得ます。
4.企業目線:進化が止まり、経済が停滞
寺田:では最後に、インフラエンジニアが活躍している企業の目線から見るとどうなりますか?
永江:サイバー攻撃に対して丸裸になり、障害が起きても放置される。効率的な設備投資もできなくなる、というイメージですね。
寺田:つまり、良いサービスが作れなくなるということですか?
永江:そうですね、土台がしっかりしなくなるので、豪華な家を建てようとしても、足元がぐらついて大きなものは作れない、という状態に近いです。
寺田:インフラエンジニアがいなくなると、サービス自体、何も作れなくなってしまうのでしょうか?
永江:開発者の方もある程度のインフラは作れるので、全くのゼロにはならないと思います。しかし、システムの規模が大きくなればなるほど、専門性を持つインフラエンジニアなしでは難しくなります。結果として、開発に注力できなくなってしまうと思います。
小山:ITインフラが発展したことで、様々なチャレンジが可能になり、新しいサービスが生まれてきました。その逆、つまりイノベーションが起きづらくなると思います。「リスクが取れないから、このくらいの規模にしておこう」という守りの姿勢になり、すべてが小粒になってしまう可能性があります。
寺田:小粒になっていく…。確かに、今は使える技術やシステムがあるから、想像力次第で新しいものを生み出せるけれど、その可能性が遮断されてしまうんですね。
小山:我慢しなきゃいけない状況というか、そうすると、現状の維持すらできなくなるので。「現状維持は退化」と言ったりもしますけど、それ以上伸びないっていうことですからね。事業としての限界もきますよね。
寺田: 事業として限界を迎えるってことは、経済が伸びなくなりますよね。
小山: 伸びないとは言えないんですけど、多分スピード感はおそらく落ちるんだと思うんです。成長はするけど、今までよりもゆっくりになってしまう、ゲームチェンジが起きづらいっていうことは、可能性としてはあるんじゃないでしょうか。
永江: 今や、あらゆる業界でデジタルへの依存度は高まっています。
キャッシュレス決済でいえば、以前はクレジットカードぐらいでしたが、QRコードでの決済であるとか、いろんな種類の決済が普及しています。それらが1日停止になると、経済に与えるインパクトは大きいと思います。
寺田:銀行や郵便のような、かつては影響が少なかった分野でさえ、デジタル化しているからこそ影響が出てきますね。郵便物もオンラインで伝票を書きますし。
小山:再配達の依頼もネットでできなくなると不便ですね。電話をしなければならなくなりますし、そもそも荷物が届かない、なんてこともあり得そうです。
寺田:海外から日本と仕事をする、といった働き方も選べなくなりますね。世界に出ていく人も減るかもしれません。
小山:情報を海外から持ち帰ることもできると思うんですけど、時間がかかりますし、タイムリーではないですからね。
寺田: 先ほど小山さんがおっしゃってたスピード感が落ちるというお話ですよね。
小山:そうですね。ノウハウの共有も遅れますし、時間が勝負というビジネスも多い中で、機会損失は計り知れないです。
寺田: なくなるだけじゃなくて、スピード感が落ちることもすごく怖いですね。
小山:これだけインターネットの世界に慣れてしまっていると、遅れたらまずい、思った通りに進まない、といった変な緊張感が生まれてしまいそうです。
5. クロージング
寺田:では最後に「インフラエンジニアが守っているもの」とは、一体何なのでしょうか?
永江:一つは、サイバー攻撃から個人データを守ることです。そしてもう一つは、膨大なアクセスを安定的に処理することで、企業の成長を支えることです。大企業が安定的にサービスを提供できているからこそ、経済が回っているという側面は非常に大きいと思います。
小山:その延長線上で言えば、私たちの「生活」そのものを守っていると言えます。経済が成長するからこそ賃金が伸びる、ということもあるわけで、ITインフラは、水道や電気、ガスと同じように、私たちの生活に不可欠なものになっています。
寺田:ありがとうございました。本日は「インフラエンジニアがいなくなったらどうなるのか」という未来を想像してきましたが、改めていかがでしたか?
永江:障害が起きても直す人がいない…まるで「デジタルの呼吸」ができなくなるような、そんなイメージを持ちました。
寺田:本当に、息をするようにデジタルを使っていますもんね。小山さんはいかがですか?
小山:普段はポジティブな文脈で話すことが多いので、こうしたバッドシナリオを話すのは久しぶりでした。ですが、改めてインフラエンジニアの重要性や価値を再認識できました。こうならないためにも、ITインフラという分野にもっと注目が集まるよう、色々できることがあるのではないかと感じました。
寺田:お話を伺って、インフラエンジニアは「影のヒーロー」であり、私たちの生活を支えているのだと実感でき、すごく魅力的に感じました。
永江:見えづらい場所で働くことが多いですが、こうして想像してみると、「やはり、いなくてはならない存在なんだ」ということに気づく良い機会になりましたね。
寺田:皆さんも、このバッドシナリオに少しゾッとしたのではないでしょうか。インフラエンジニアの方々にどれだけ支えられているか、私たちも想像していきましょう。
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