2025/11/19
インフラエンジニアのホントのところ #28|実例を聞く!クライアントワークでキャリアを伸ばしたエンジニアたち
ITインフラって、「なんだか難しそう」「地味で大変そう」と思われがち。
でも実は、社会を支える根幹にある、とてもやりがいのある仕事なんです。
そんなリアルをお届けするPodcast 「インフラエンジニアのホントのところ」。
MCにはベンチャー女優の寺田有希さんを迎え、当社の副社長 永江耕治と採用責任者 小山清和が、現場・経営・採用の視点から語ります。
今回のテーマは「実例を聞く!クライアントワークでキャリアを伸ばしたエンジニアたち」。
「クライアントワーク=下請け」なんてもう古い!
本日は多様な現場でスキルを磨き、キャリアアップしてきたお二人をゲストにお迎えし、リアルな歩みや成長の秘訣を伺います。
今こそ見直したい、クライアントワークの価値とは?
<ゲスト>
– 石井 克尚(いしいかつひさ):株式会社グッドパッチ 執行役員
– 平林 雄太(ひらばやしゆうた):株式会社エーピーコミュニケーションズ iTOC事業部EDT部GM
<目次>
1.オープニング
2.リアルキャリア①:プログラマーからデザイナー、そして執行役員へ
3.リアルキャリア②:ピザ屋店長から未経験でエンジニアへ
4.クライアントワークを選んだ理由
5.クライアントワークの中で、成長できた瞬間
6.スキルアップの工夫とは?
7.キャリアアップする人の共通点
8.クライアントワークの魅力とは
9.クロージング
1.オープニング
寺田:インフラエンジニアのホントのところ。言葉は有名でも、何かと知らないことが多いインフラエンジニアの世界。この番組は、キャリアや将来性、魅力など、ついつい隠れがちな「ホントのところ」、インフラエンジニアキャリアの真実を、業界のプロであるエーピーコミュニケーションズの永江さん、小山さんと共に徹底解剖していくポッドキャストです。今回も始まりました、「インフラエンジニアのホントのところ」。
小山:エーピーコミュニケーションズの小山です。私は10年以上のIT業界での採用経験と、7回にわたる転職でキャリアを形成してきた人事です。エーピーコミュニケーションズでは採用責任者をしています。よろしくお願いします。
寺田:そしてMCを務めます、ベンチャー女優の寺田有希です。さてさて、今回も2人でお届けいたします。
小山:ゲスト回、後編ですね。前編も非常に良かったですけれども、後編も楽しみにしております。
寺田:前編が「クライアントワークはなぜ成長できないと言われてしまうのか」といったところに言及してきたのですが、後編では、実際のキャリアをお聞きして、リアルなクライアントワークを考えていこうかなと思っています。
小山:キャリアの話となると、端折られたりとか、本当に良いところだけを切り取った話がやはり多いので。良いことばかりではなく、おそらく大変だったことなどもあると思います。そういった話になるといいなと思います。
その方がキャリアとしてイメージしやすいですよね。「自分とは関係ない」となってしまうと、もったいないと思ったりもするので。生々しい話ができるといいのではないでしょうか。
寺田:キャリアってイメージしづらいので、リアルな体験談を聞けるのは貴重ですよね。
小山:そうですね。特に失敗や、その失敗からどう回復してきたか、そういったところも話ができたりするといいと思っています。
2.リアルキャリア①:プログラマーからデザイナー、そして執行役員へ
寺田:本日のテーマは「実例を聞く!クライアントワークでキャリアを伸ばしたエンジニアたち」です。「クライアントワークって成長できるの?」この答えは一つではありません。本日は、多様なクライアントワークの現場でスキルを磨き、キャリアを積み上げてきたお2人をゲストにお迎えし、知られざる魅力とリアルなキャリアパスを徹底解剖していきます。
それではゲストをご紹介します。株式会社グッドパッチ執行役員 石井さん、そして株式会社エーピーコミュニケーションズ iTOC事業部 EDT部 GM 平林さん、よろしくお願いいたします。
石井:よろしくお願いします。
平林:よろしくお願いします。
寺田:早速ですが、今どんなことをされているのか、簡単に教えていただいてもいいですか?では、石井さんお願いします。
石井:株式会社グッドパッチで執行役員をしております、石井と申します。私の管掌領域は、弊社のクライアントワークの事業、我々は「デザインパートナー事業」と呼んでおりますが、そちらのデリバリー領域の管掌役員をしております。
本日はよろしくお願いいたします。
寺田:お願いします。では平林さん、お願いします。
平林:初めまして、よろしくお願いいたします。エーピーコミュニケーションズ iTOC事業部 EDT部の平林と申します。現在は、事業部のグループマネージャーとして、クライアントワークの複数プロジェクトを管掌しつつ、採用面接やお客様との営業対応など、本部側の仕事を主にしています。
また、一部のプロジェクトではエンジニアとしてお客様先でバリバリ働いておりまして、現場感を忘れないように、というのをモットーにやっております。
寺田:今回はキャリア回ということなので、クライアントワークを通じて積み上げてきた、リアルなキャリアについてお聞きしていきたいと思っています。では、どんなキャリアをまず歩まれてきたのか教えていただきたいんですけど、石井さんどうでしょう?
石井:私は大学卒業後、最初はプログラマーとして仕事をしておりました。市役所や区役所向けの防災シミュレーションシステムのクライアントサイドや、サーバーサイドの実装などを担当していました。その後、iPhone 3GSが出たくらいのタイミングでアプリ開発の仕事を始め、その後、いわゆる事業会社と呼ばれるようなところに転職し、そこで新規の企画からデザイン、開発まで幅広く担当しておりました。
2014年にグッドパッチにエンジニアとして入社し、エンジニアリングマネージャーを担当した後、ここから少しキャリアを変えて、デザイナーにジョブチェンジをしました。そこからデザイナーとしての現場キャリアを重ね、またマネジメントの方に戻り、デザインマネージャーやゼネラルマネージャー、そして現在は執行役員という形で仕事をさせていただいています。
寺田:プログラマーからエンジニアリングマネージャーになって、そこからデザイナーになられてるって、かなりジョブチェンジというか、職種チェンジされていますね。
石井:気がついたら、そんなことになっていました。
寺田:できるんですね、そんなに職種チェンジって。
石井:そうですね。言ってしまえばただのラベルではあるので、その時々でやれることをやっていたら、そういう形になっていた、というところです。
3.リアルキャリア②:ピザ屋店長から未経験でエンジニアへ
寺田:では平林さん、どうですか?どんなキャリアを歩んでこられましたか?
平林:私は前職が異色なんですけど、ピザ屋の店長をしておりまして。
寺田:ピザ屋の店長さんだったんですか?!
平林:はい、そうです。2011年に未経験でエーピーコミュニケーションズに入社しました。最初はネットワークの監視や保守の現場に入ったんですが、ここが下積み時代ですね。私はIT未経験でしたし、IT業界も初めてでしたので、この下積み時代に色々勉強を頑張ったと、今振り返って思っています。
その後、運用の現場を経て、2019年にチームのリーダーになりました。昨年グループマネージャーになりました。
私の得意領域としては、運用の現場が長かったので、運用設計や運用改善の分野が得意ジャンルとなっております。
寺田:ピザ屋の店長から、未経験でインフラエンジニアに。何かきっかけがあったんですか?
平林:もともと大学では情報工学科で、プログラミングやネットワークのインフラも少し勉強していたので興味はあったんです。一念発起して、やりたいことをやってみようと思って転職しました。
寺田:まさに、クライアントワークで実務経験をされてキャリアアップされてきた、ということですよね。
平林:そうですね。クライアントワークが私を育ててくれた、と思っています。
4.クライアントワークを選んだ理由
寺田:ではここからは、クライアントワークは「成長できない」「やめておけ」と言われてしまうことが多いということで、アドバイスも含め、お2人のリアルなご経験を聞いていきたいと思います。
まず、現在のキャリア、クライアントワークを選んだ理由は何だったんでしょうか?
石井:僕の場合は、「クライアントワークをやりたい」と思って仕事を探していたというよりは、「グッドパッチ」という会社に強く興味があった、というところが大きかったと思います。
グッドパッチはデザイン会社なんですけども、私自身がいわゆるUI/UXデザインとか、そういった領域がとても好きだったので、「優秀なデザイナーと一緒に仕事がしたい」「良いものを作りたい」と考えていた時に、グッドパッチという選択肢がありました。
募集されていたポジションが、たまたまクライアントワーク事業のエンジニアポジションだった、という、それくらいの感じです。
寺田:じゃあ、クライアントワークがどうか、といったことはあまり考えられていなかったんですね。
石井:考えてなかったですね。なので、「どんな事業をやるか」というより、「どんな人と働きたいか」というのが、その頃の自分にとってはすごく大きかった、というところがあります。
寺田:実際に入社して始めるとなった時に、やるのはクライアントワークだったわけじゃないですか。どうでしたか?
石井:もちろん面接のタイミングで、そういうポジションだということは理解していました。私の場合は、もともとクライアントワークの経験もあったので、そこに関しては全然抵抗なく入れましたし、むしろ面白かったな、と思っています。
寺田:平林さん、どうでしょう?
平林:私も正直にお話しすると、最初は「選べなかった」というのが答えになるかと思います。私は未経験でこの業界に入りましたので、キャリアの選択肢も、選べる現場の選択肢も限られていました。たまたまアサインされた現場がクライアントワークの現場で、自然とクライアントワークの環境に身を置くことになりました。
最初にネットワークの監視や、保守運用の現場でクライアントワークを経験するうちに、その環境の魅力にどっぷりハマるようになりました。1つのサービスに留まるのではなく、常に新しい技術やトレンド、違ったお客様の課題に触れることができる。特定の技術に縛られない可能性があるのではないか、という感覚があって、ワクワクしていたのを覚えています。
寺田:ちなみに、クライアントワークしか選択肢がなかったとおっしゃいましたが、始めた時、世の中のマイナスなイメージはご存知でしたか?
平林:そうですね、周りでそういう働き方をしている人もいましたし、実際にそういう声もちらほら聞こえてきたので、知っていました。
寺田:知っていて、「あ、やっぱりダメなのかな」とかも思っていましたか?
平林:最初は、正直、そういう先入観はありました。ですが、働いてみて「違うな」と思ったのが私の感想です。
寺田:実際にたくさんの魅力に気づいていったわけですね。
5.クライアントワークの中で、成長できた瞬間
寺田:次に、その中身を聞いていきたいんですが、クライアントワークを通じて「成長できたな」って感じた瞬間や、案件はありましたか?
平林:成長できた瞬間は、まさに「火事場の真ん中」にいた時だと思います。特に運用の現場は、大規模な障害対応が日常茶飯事だったりするんです。復旧作業は大急ぎでやらなければいけないんですが、決まったフロー通りにやってもうまくいかないとか、この機器を交換すれば直ると思ったのに直らないとか。
お客様や現場のメンバーが不安に陥っている状況の中で、正確な切り分けをして、冷静な対応で復旧に導けた時に、達成感と共に「自分が提供している価値は、単なる技術力や知識だけじゃなくて、問題解決力なんだ」と強く感じました。そこがエンジニアとして殻を破れた部分だと思っています。
寺田:インフラエンジニアは、障害が起きないことが当たり前、みたいによく言われると思うんですけど、起きた時に出せるパワーみたいなものも活力になる、ということなんですかね。
平林:そうですね。復旧に関しても、単にシステムを直して終わりじゃなくて、再びお客様の業務を止めないように、再発防止やオペレーションの改善を行う。私はそこが結構得意で好きだったので、ビジネスの最前線で問題解決できている、というところに成長を感じました。
寺田:グッドパッチ石井さんは、成長できたと感じた瞬間はありますか?
石井:そうですね。いっぱいあります。やはり成長を感じる時は、大失敗した時なんですよね。「今までの考え方ややり方では、これはもううまくいかないんだな」と分かった時です。目の前の大きな課題をどう解決したらいいのか、今までの自分のやり方や、考え方を変えて取り組まないといけない、と。
そういった新しいトライの中で、成長していくものだと思っているので…失敗はしたくないんですけど、やはり大きく成長する時は、大きな失敗をした時なのだと思います。
寺田:小山さんとも冒頭で話していましたけれども、リアルな失敗体験を聞けることもなかなかないので、ぜひお聞きしたいですよね、小山さん。
小山:はい、そうですね。ぜひ聞きたいです。
寺田:言える範囲で、どんな失敗があったか、教えていただけますか?
石井:そうですね。僕がデザイナーとして、大規模なシステム全体のUIデザインを考えた時、当時はそれが最善だと思ってデザインしていたんですが、実際にリリースされて、運用・改善をしていく中で、「改善がしづらいプロダクト」をデザインしてしまっていたんです。
ユーザーインターフェースとして、どういう情報設計や画面設計にしておくと仮説検証がしやすいのか、という視点があるんですが、そこの理解が甘く、すごく改善がしづらいプロダクトを作ってしまいました。それによって、エンジニアの皆さんから「そこを変えるなら、もうここから作り直さないとダメです」と言われるような、僕が想像していた以上の大きな改修を巻き起こしてしまいました。
プロダクトやエンジニアリングの仕組みと、デザインとをしっかり一致させた形で作らなければならなかった、という大きな失敗経験です。
寺田:それはどう乗り越えられたんですか?
石井:もう、やりきるしかなかった、といえばそれまでなんですが(笑)。
再発防止という点では、データベース、APIなどエンジニアリングの仕組みと、ユーザーインターフェースをしっかり一致させる、というところですね。
僕はもともとエンジニアだったこともあり、正直、自分のことを少し過信していたところがあったのだと思います。そこを改めて内省する、大きなきっかけになりました。
6.スキルアップの工夫とは?
寺田:クライアントワークでの経験をスキルアップに繋げていく、という意識はすごく重要だと思うんですが、そのために工夫していること、意識していることなどはありますか?石井さん、どうでしょう?
石井:クライアントワークって、良くも悪くも「初めまして」の人と仕事をすることが多いんですよね。
「初めまして、石井と申します」と挨拶する時に、「デザイナー」という名刺を渡せばデザイナーとして見られますし、「エンジニア」という名刺を渡せばエンジニアとして見られる。あんまり良くないとは思うんですけど、僕は一時期、複数の名刺を持っていました。
そのプロジェクトの中で、自分にどういう期待値を持ってもらいたいか。例えば、開発へのニーズが強ければ「エンジニアの石井です。エンジニアリングのことなら相談してください」と挨拶しますし、「これから仮説検証を重ねて、どんなプロダクトにしていこうか」というニーズが大きければ、「デザイナーの石井と申します」と挨拶する。クライアントのニーズに合わせて、自分の「形」を変えてきたところがあります。
結果的に、色々なロールを経験したことで、今ではプロダクトチームの誰とでも話せるようになりましたし、間に入って繋ぐような観点で話ができるようになったのが、僕の一つの強みだと思います。
狙ったわけではないんですが、たまたまそうなりました。
寺田:わざわざ新しい名刺を作るんですか?
石井:そうです。クライアントさんとお話しする時に、「エンジニア」という肩書きと「デザイナー」という肩書きとでは、期待値がやっぱり変わってくるんです。
「エンジニア視点での話ですね」という形で捉えられてしまうのが悔しかった経験もあったので、当時のマネージャーに「UXデザイナーとしての名刺も作らせてください」とお願いしたりしていました。あまり推奨されることではないかもしれませんが(笑)。
寺田:小山さんどうですか?色々な会社を経験されてきたと思いますが、肩書きを変える技。
小山:実は僕も石井さんと同じで、人事とか採用担当という名刺じゃなかったです。グッドパッチにいた時は「コミュニティプランナー」と名乗っていました。いわゆる「ファンを作る」という役割ですね。戦略的に、あえてそうしていました。
寺田:その戦略はどう思いついたんですか?
小山:エンジニアやデザイナーの方に話を聞くと、「採用担当」だと警戒するという人が多かった。それが分かっていたので、目的を達成することを考えたら、そっちの方がやりやすいし、会話のネタにもなるだろう、と。先入観を持たれないようにするためですね。グッドパッチは、目的があるなら割とOKという会社だったので、石井さんの事例もその一つかなと思いました。
寺田:びっくりしました。
でも確かに、肩書きって結局何でもいいなと私自身も思いますが、何でもいいからこそ、自分の肩書きが名刺がわりになる。それを作っていくって、会社員でもクライアントワークでも、エンジニアでもデザイナーでも、人事でも大事なんですね。
小山:ただ、振る舞い方も大事なので、間違った振る舞いをしてしまうと…というデメリットやリスクもあります。そこは表裏一体かなと思いますけどね。
寺田:そういう工夫を考えて、試してみて、やってみることも大事、と。
石井:そうですね、はい。
寺田:では、エーピーコミュニケーションズ平林さん、いかがでしょう?スキルアップのためにしていることは?
平林:一言で言うと、「どんどんアウトプットする」ことを意識しています。クライアントワークは、働く場所が変わるたびに新しい知識が手に入ったりするので、これを単に「経験した」で終わらせるのではなく、「次の現場では、前回のあの知識を活かして、意識的に使ってみよう」とか、積極的に自分が持っている知識をアウトプットするようにしています。
そうすると、例えば同じ製品やサービスでも「会社によって使い方が違うよね」とか「他の人たちはこうしてるんだ」みたいな新たな知識も加わって、自分や現場のメンバーのスキルが上がっていくのを経験しています。各自が持ち寄った知識をアウトプットしてもらって、その現場に合った最良のものを作っていくことを意識しています。
また、チーム力を上げるという意味では、それをさらにナレッジ化、ドキュメント化したり、勉強会を開いたりできれば、自分の知識の再確認にもなりますし、アウトプットしていくことで自分も周りも成長できるのかなと思っています。
寺田:技術のこととなると、自分のうちにこもってしまいそうですけど、やはり外に出すのは大事なんですね。
平林:違った現場を経験している人が集まってくると、その現場現場で持っているノウハウというか、「その現場ではそんなことをやってたんだ。「こちらでも使えるね」といった意見が色々出てきて、エンジニア同士が高め合っていける。それもクライアントワークのすごいところかなと思います。
7.キャリアアップする人の共通点
寺田:クライアントワークを通じて、お2人ともキャリアアップをされてきたと思うんですが、キャリアアップしている人の共通点はありますか?ご自身のご経験でもいいんですけど。
石井:もしかしたらクライアントワークに限らないかもしれませんが、やはり「目の前にある仕事を楽しむことがうまい人」は、成長するし、キャリアアップすると思っています。
目の前のことを自分事として捉え、「これを何とかする」というスタンスで仕事をする人は、チームメンバーから見ても頼もしい存在に映ります。そういった方は周囲からの信頼を集め、どんどん新しい仕事や機会を手にしていきます。
特にクライアントワークの場合は、プロジェクトによって全く違う組織やドメインと仕事をすることになるので、好奇心や自分事として捉える姿勢がとても大事になってくる。そういった部分を存分に発揮している方は、すごい勢いで成長し、キャリアアップも実現できている。クライアントワークを10年くらいやってきて、いろんなメンバーを見てきましたが、共通点はそういうところかなと思います。
寺田:楽しむ力が大事ですね。どうでしょう、平林さん。
平林:石井さんからも「信頼」という話がありましたけれども、私もステークホルダーと信頼関係が築けていて、深い関係になれている人ほど、キャリアアップできている印象があります。
エンジニアとして技術力が高いのは大前提なんですが、キャリアアップしている人は、お客様と良いことも辛いことも経験し、自分の良い面も悪い面も知ってもらえている状態。そういうところでお客様の信頼を勝ち取り、「この人なら任せられる」と思われている人ですね。
さらに、それを自分の会社に持ち帰ってきて、得た知見や成功体験を自社に還元できていることも重要かなと。つまり、現場と自社の両方に対して価値を提供できている人が、キャリアアップしている人の特徴かなと思います。
8.クライアントワークの魅力とは
寺田:クライアントワークのキャリアについてお伺いしてきましたが、最後にお2人が思うクライアントワークの魅力、推せる部分は何でしょう?
石井:やはりクライアントワークの魅力は、先ほどもお話ししましたが、プロジェクトによって組織やドメインが異なってくる、というところだと思っています。
例えばグッドパッチの場合、クライアントワークの事業もやっていますし、自社サービス・自社プロダクトも展開しています。自社サービス・自社プロダクトも面白い仕事ですが、やはり一定のターゲットユーザーやペルソナが定められていて、その顧客に対してサービスを提供していきます。
ですが、クライアントワークという形になると、どのクライアントさんとお仕事をするかによって、エンドユーザーの方々が大きく変わってくる。自社だけでは出会えないエンドユーザーの方々に対して、サービスやプロダクト、良いユーザー体験を提供することができるのが、クライアントワークの面白いところかなと思っています。
寺田:やはり、それぞれ会社にも個性がありますしね。それを色々体験できるのは良いところですよね。
石井:そうですね。
寺田:エーピーコミュニケーションズ平林さん、いかがでしょう?
平林:私が思うクライアントワークの魅力は、常に新しいチャレンジができて、その成長のドライブ感というか、スピードが圧倒的に速いことかなと思います。
1つの技術に縛られない良さも大きいですし、自分の仕事が目の前のお客様のビジネスを動かしているという実感も持てます。近くにいるお客様から感謝の言葉をいただくこともできます。
こういった環境は、エンジニアとしてプロになれるための最高の環境だと思っていて、それが私がここまでやってこられた理由の一つだと思います。
寺田:「プロになれる最高の環境」、パワフルな言葉ですね!
平林:世間では「クライアントワークは…」と色々言われることもありますが、私がずっとクライアントワークの環境にいて思ったことは、エンジニアとしての成長速度、プロになれるための環境としては、一番早く手に入れられるものだ、ということです。
寺田:ネットに書かれていることと真逆ですね。つまり、向き合い方次第で変えられる、ということですよね、きっと。
平林:そう思います。
寺田:リアルなキャリアを聞いていただけたと思うので、ぜひ参考にしてみてください。それではお2人、ありがとうございました。
石井:ありがとうございました。
平林:ありがとうございました。
9.クロージング
寺田:小山さん、どうでした?お2人のお話を聞いてきましたが。
小山:いや、前後編通して聞きましたけど、やはり仕事への向き合い方次第で変わってくるんだな、と思いました。
クライアントワークって、ある意味、利害が違う人同士で利害を一致させながら仕事を進めなければいけない、結構ハードな仕事だと思うんです。採用もそういうところがあって、「こういう人が欲しい」と言われたことをそのままやるのではなく、事業成長を考えた時に「本当に現場が欲しい人材の採用でいいんだろうか?」と考えたり、そこを現場とすり合わせて「確かにそういう人が必要だよね」と利害を合わせていったり。そういう意味では、採用の仕事も、割とクライアントワークに近いところがあると感じています。
僕は転職をたくさんしてきて、色々な会社で色々な障害を乗り越えてきましたが、クライアントワークって、職種に関係なく、仕事でサバイブしていくために必要なことが学べるものだと思っています。
利害が一致していることは基本ないですし、コミュニケーション力が高い人というのは、そうした利害が一致しない人たちの中で、どう落としどころを見つけていくかができる人なのだと思います。
私は前職と現職で、クライアントワークをやっている人たちと一緒に仕事をすることで学べていることもあるので、もちろん、辛いところや理不尽なことを言われることもあるかもしれませんが、それだけではなく、クライアントワークに良いところがあるというのが、少しでも伝わるといいなと思って聞いていました。
寺田:色々詰まっていましたね。「自分ごと」として考えないとキャリアは伸びない、とか、クライアントワークも向き合い方次第、とか。両者の利害関係をどう合わせていくか、自分の頭で考えて仮説を立てて行動する、そのプロセスで力もついていくでしょうし、その「考えること」自体も重要でしょうし。
小山:そうですね。信頼残高が増えれば、より大きな仕事を任せてもらえるようになる。信頼を得ていくって、抜け落ちがちですけど、任せてもらえない時は、能力以前に「信頼」の部分が足りないことが多いですよね。
石井さんも平林さんも、愚直に向き合いながら信頼を得ていったからこそ、今の立場で仕事ができていらっしゃるんだと思うので、そういったところも伝わればいいですね。
寺田:ぜひ皆さんも、このリアルな言葉を参考にしていただけたらと思います。
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