2026/04/01
インフラエンジニアのホントのところ2 #5|【現場のリアル】なぜ、ITインフラの会社が「AI」に力を入れるのか?
インフラエンジニアのリアルな現場を深掘りするPodcast「インフラエンジニアのホントのところ」。
Season2のメインテーマは、「AI時代を生き抜くキャリア術」。
今回は、副社長の永江耕治と採用責任者の小山清和の二人がホストを務める特別回。現場の最前線でAI推進を担う小澤志織さんをゲストに迎え、新企画「現場のリアル」をスタートします。
インフラ企業がなぜ今、AIに全社を挙げて注力するのか。その舞台裏にある経営の覚悟と、現場エンジニアの葛藤、そして具体的な活用事例までを語り合います。
<目次>
1.オープニング
2. スペシャルゲスト:AI推進のキーマン・小澤さん
3. 最大の変革期にAIへ注力する理由
4. 安全第一!ガイドラインとハンドブックの策定
5. 人事現場のAI活用:「AIコヤマくん」と書類選考サポート
6. クロージング
1.オープニング
小山: 「インフラエンジニアの本当のところ:AI時代を生き抜くためのキャリア術」。この番組は、元インフラエンジニアの現役経営者と、7度の転職でキャリアを築いてきた採用責任者が、AIの進化が止まらない現代におけるインフラエンジニアの転職・キャリア・生き残り方を徹底解剖するポッドキャストです。
最先端の現場トークから、個人では得づらいリアルなキャリア情報まで、この番組を聴けばインフラエンジニアのホントのところが分かります。
永江: エーピーコミュニケーションズの永江です。インフラエンジニア業界歴は23年以上で、現在はエーピーコミュニケーションズの取締役副社長をしています。よろしくお願いします。
小山: エーピーコミュニケーションズの小山です。私は10年以上のIT業界での採用経験と、7回にわたる転職でキャリアを形成してきた人事です。エーピーコミュニケーションズでは採用責任者をしています。よろしくお願いします。
永江: 実は今日は、MCの寺田さんがいらっしゃらないんですよね。
小山: そうなんですよね。いつもはいらっしゃるのですが、今日は我々だけで進めていく形になります。
最先端の情報や現場のリアルな声をもっとお届けしたいと考え、「現場のリアル」と題した定期的な新企画をスタートします。業界の最新トレンドやシーズン2のテーマでもある「AI」への取り組みなどについて、エーピーコミュニケーションズのメンバー同士で雑談形式でお届けしたいと思います。
永江: 普段から現場のリアルはお届けしていますが、さらに今日はリアルな感じでお送りしていきます。
2. スペシャルゲスト:AI推進のキーマン・小澤さん
永江: 我々2人だけでは心細いので、もう一人メンバーに加わってもらいましょう。小澤志織さんです。
小澤: よろしくお願いいたします。
現在社会人8年目で、エーピーコミュニケーションズに入社して3年目に突入しました。元々はゼロトラストセキュリティの新規立ち上げチームにエンジニアとして参画しました。今もセキュリティ業務に携わっていますが、兼任で「生成AIによって会社の価値を向上させる」というミッションを持つ「AIオプス・イネイブルメント(AI Ops Enablement)」というチームにも所属しています。社内ではAIに関するさまざまな施策を担当しており、今回は現場の視点でお話しするために呼んでいただきました。
チーム名が長いので、社内では略して「AIOE(エーアイオーイー)」や、そのまま「アイオエ」など、人によって色々な呼び方をされています(笑)。
永江: そんなにパターンがあるのは知らなかったです。
小山: これこそ現場のリアルですね。
3. 最大の変革期にAIへ注力する理由
永江: さて、今日は「AIに力を入れている理由」をテーマにお話ししていきたいと思います。私はこの業界に長くいますが、今は最大と言っても過言ではないほどの変革期が来ていると感じています。
この激動の時代において、会社としてどう生き残っていくのか。
そのためには、会社自身も変わっていかなければなりません。そこで避けて通れないのが「AI」です。シーズン2のテーマでもありますが、なぜここまで力を入れているのか、その背景を皆さんとお話しできればと思います。
小澤さんは入社して3年くらいになりますよね。
小澤: そうなんです。気づけば3年目になりました。
永江: ちょうどその頃、2022年の11月に、OpenAIが「ChatGPT」を一般公開した時期でしたね。2023年に入ってからはIT企業に限らず、世の中全体が生成AIへの対応で慌ただしくなり始めた頃ですが、小澤さんはそんな時期に入社されたんですね。
小澤: そうですね。GPT-3などが出始めて1年後くらいだったと思います。
覚えているのが、転職活動中に他社の方から「あなたは生成AIをどのように使っていますか?」と質問されたことです。当時はまだ少なかったですが、「あ、これは生成AIの時代が来るな」と強く感じていた時期でした。
永江: 小山さんはどうでしたか?
小山: 私は当時、AIの存在は知っていましたが、まだ「仕事で使うには精度が足りないのでは」と、若干懐疑的でした。知ってはいるけれど、まだ当事者という感覚ではなかったですね。
永江: エンジニアの間では「とりあえず試してみよう」という雰囲気がありましたよね。小澤さんの周囲はどうでしたか?
小澤: あったと思います。「新しいものは、とりあえず触ってみようよ」という空気感はありましたね。業務で使うというよりは、新しいもの好きな人たちが飛びついて、わちゃわちゃ喋っているような感じだったと思います。
永江: 確かその頃から、社内のSlackにAI専門のチャンネルができていましたよね。
小澤: はい、入社した時にはすでにありました。先人の方々が半年分くらい議論されている履歴が残っていて、入社してすぐに全部遡って読んだのを覚えています。
永江: エーピーコミュニケーションズのAI活用は、小澤さんの入社とほぼ時を同じくして加速していったんですね。
小澤: 入社時の研修で、役員の方々と面談する機会があったのですが、その時に「エーピーコミュニケーションズではAIに対してどんなことをしているんですか?」と聞いたら、「AIか……まあ、そのうちね」という反応だったんです(笑)。
永江: まだ模索中の時期だったかもしれませんね。
小澤: 今では経営陣から「AIだ!」と強く発信されていますが、当時はまだまだこれからという段階でした。
その後、オンラインの全社員ミーティングなどで、開発系の受託開発(SI)などですでに影響が出始めているというリスクや、これをビジネスチャンスに変えて良いポジションを取りに行くぞ、という発信が行われました。
小澤: 覚えています。その際、事前に「これから本気でやっていくから力を合わせていこう」と、現場のAI好きのメンバーにも声をかけてくださって、配慮と本気度をすごく感じたのを覚えています。
4. 安全第一!ガイドラインとハンドブックの策定
永江: 小澤さんは、AI関連のワーキンググループや、予算が付いた初期チームの最初期メンバーですよね。
小澤: はい。先陣を切ってくださった先輩からバトンを受け継ぐ形で、2024年からは私がリーダー的な役割で関わらせていただいています。
永江: チームで最初に取り組んだことは何でしたか?
小澤: 私がどうしてもやりたかったのが「生成AIガイドライン」と「生成AIハンドブック」の策定です。
なぜ2つ作ったかというと、まず「ガイドライン」は法務とも相談しながら、法律に配慮した公的なルールとして作成しました。ガバナンスの観点で絶対に必要なお堅いルールです。ただ、どうしても言い回しが抽象的で現場では使いづらい面があります。
そこで、情報システム部の方々にも協力していただき、「現場で実際に使う時はこうしよう」という具体的な実践編として「ハンドブック」を別に作成しました。
永江: ガバナンスへの意識は、お客様の重要情報を預かる我々の仕事において、体に染み付いている部分がありますよね。
小澤: そうですね。やはり「お客様の情報に何かあってはいけない」という不安から、「不安があるなら使わない」という慎重な意見が最初は多かったです。特にインフラエンジニアは、止まってしまったら大問題になるという責任感が強いので。
永江: IT業界の中でも、いわゆる堅めなお客様のお仕事をさせていただいている企業と、一方で、割と自由に新しいことに挑戦している企業とでは、そのあたりの考え方の違いを感じることはないですか?
小澤: ありますね。特に当時は、AIに対する取り組み度合いだけで、その企業を評価するような風潮があった気がします。
永江: ちゃんとリスクや倫理まで考えられているか、という点ですね。
小澤: そうです、そうです。
永江: それは私も感じますね。「何でもいいからとりあえず触りたい」という熱量も大切ですが、一方で「ガバナンスがしっかり考えられているか」というところ。
そこが抜けていると、周りから「大丈夫かな?」と心配されてしまう側面もあります。個人で活動されている方なら自由でいいのかもしれませんが、組織としては違いますよね。
小澤: そうですね。ただ、いろいろなスタンスの企業があるほうが、お客様としても自分の考え方に近いパートナーを選べる、という良さはあると思っています。その中で「エーピーコミュニケーションズとしてどう立ち回っていくのか」という議論は、当時から社内でもかなり話題に上がっていました。
永江: ハンドブック公開後の反響はどうでしたか?
小澤: 好評いただいたと思っています。「怖くて使えなかったけれど、これを読めばどう使えばいいか分かったから、どんどん使う」という意見や、逆に「自分の案件では使ってはいけないことが明確になったので、それはそれで安心できた」という声もありました。
永江: やはり「適当に使ってはいけない」という意識が、社内でも相当強いですよね。「安全に運用すべき」という考えや、「自分の判断だけで勝手にトラブルを起こしてはいけない」という責任感を持っている人が、やはり多いのだなと感じます。
小澤: 本当に多いですね。ただ、私自身が意外だったこともあります。
エンジニアとして「新しい技術には、触れなければならない」という使命感がある一方で、「でも、AIを勝手に使っていいのか分からない」という不安もある。この二つの気持ちが混ざり合って、焦りやAIに対する拒否感に変わってしまっていた方もいらっしゃったんです。
ですから、ガイドラインで「ここまではOK、ここからは明確に使えない」とルールが決まったことで、逆に安心できたという声があったのは、私としては少し意外な発見でした。
永江: そうですよね。ガイドラインによって「安心して使えるようになった」というのは、組織にとって非常に大きかったのでしょうね。
5. 人事現場のAI活用:「AIコヤマくん」と書類選考サポート
永江:小山さんは、エーピーコミュニケーションズ のこういう取り組みを見て感じたことなんかありますか?
小山: 私がいいなと思ったのは、周囲の会社の出方を見るのではなく、まず自分たちが真っ先に動いてしまうという点です。これは当社の社風全般に言えることなのですが、常に最先端のことや、他社がやっていないことに挑戦しているんですよね。
特に、AIへの取り組みを内製で進めていく動きがいいと思うのは、経営陣がそこに対して明確にコミットし、全社員に向けて発信していることです。これ、実は結構珍しいことだと思うんですよ。AIを主業としている事業会社なら分かりますが、当社のメインビジネスを考えれば、現状のモデルでも一旦は成り立ちますよね。
それでもあえて「AIをやっていく」と全社的に宣言し、投資している。これはお世辞抜きで当社の素晴らしいところだと思います。採用の現場でも、もっとこの熱量を伝えていかなければいけないなと、自分自身の反省も含めて感じています。
あと、実は、私も小澤さんの影響を受けて「AIコヤマくん」という、採用に関する質問に答えてくれる社内向けチャットボットを試作しているんです。
永江: どんなことを答えてくれるんですか?
小山: 「正しい面接のやり方は?」と聞くと、私が社内で行っている面接トレーニングの資料や私のスタンスを反映して、「こういう時は、こう振る舞うといいよ」と返してくれます。
現場の人が、わざわざ私を捕まえなくても24時間いつでも確認できるようにしたいと考えました。最後に「これ以上は、本物の小山に聞いてください」という決めゼリフを入れる設定にしています(笑)。
永江: 小澤さんも関わっているんですよね。
小澤: 「AIコヤマくん」という名前なのは今初めて知りましたが(笑)、書類選考をサポートするAIの部分でお手伝いしました。ガバナンスに配慮しつつ、AIが適切に資料を読み取って判断できるように、プロンプトを工夫しました。
特に「言ってはいけないこと」や「絶対に避けてほしい方向性」を指定するのが大変で、気づいたら6?7時間ほど集中してプロンプトを作り込んでいました。
小山: おかげさまで、新任のリクルーターが選考基準を学ぶための育成ツールとしても非常に役立っています。
6. クロージング
永江: セキュリティエンジニアでもある小澤さんとして、これからAIで取り組んでいきたいテーマはありますか?
小澤: やりたいことはたくさんありますが、一番は「システムインテグレーション(SI)」の根幹を支援するAIを作ることです。
設計や構築のプロセスをAIでどう支えていくか、ついにその時が来たと実感しています。ちょうど4月頃から、本格的にプロジェクトを動かそうと計画しているところです。
永江: 良いですね。そのあたりは、ぜひ次回以降に詳しくお話ししましょう。今日は新企画「現場のリアル」の第1回として、AIをテーマにお話ししました。初回ということで一旦このあたりにしましょう。ありがとうございました。
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それではまた来週お会いしましょう。バイバイ。
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