2026/03/04
数学が苦手でも大丈夫?中学生が「働く自分」を少し身近に感じた日【企業訪問レポート】
会議室に響く少し緊張の混じった挨拶と、プログラムが進むにつれて聞こえたリラックスした声。
2026年2月、エーピーコミュニケーションズ(APC)に、昭和学院中学校の生徒さんたちが企業訪問でやってきてくれました。
APCが大切に続けている、学生の企業訪問活動。
今回、案内役を務めたのは「文系出身・未経験」からエンジニアの道を歩み始めた若手社員の原谷です。
かつての自分と同じように、ITという世界を少し遠くに感じているかもしれない生徒たちへ、彼は自身の経験を交えてどんな言葉を届けたのでしょうか。
「中学生による企業訪問」をレポートします。
少しずつ謎が解けていく。当日のプログラムの詳細
少し緊張した面持ちで会議室に集まった中学生の生徒さんたち。最初は慣れない「オフィス」という空間に戸惑っている様子でしたが、プログラムが進むにつれて、一つひとつの説明を自分たちの知っている知識と結びつけながら聞いている姿が見えてきました。

【1】ITエンジニアの仕事を「家づくり」で紐解く
まずは「ITエンジニアって、具体的に何をしている人?」という疑問を解き明かすところからスタートです。 メールが届く仕組みなど、身近なITシステムの正体を解説したあと、APCの企業訪問ではおなじみの「家づくり」になぞらえて、ITシステムが完成するまでの役割分担を説明しました。
・建築家 = コンサルタント(どんな家にしたいか相談に乗る)
・設計士 = システムエンジニア(図面を引く)
・大工 = プログラマ・インフラ/クラウドエンジニア(実際に組み立てる)
・修理屋 = 運用保守・セキュリティエンジニア(点検・守り)
普段は意識することのないITエンジニアの仕事を、身近な職業に置き換えて説明すると、皆さんイメージが湧いたようで、手元の資料を追いながら頷いていました。
また、この仕事がSDGsの目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」に直結しているという話では、自分たちが学校で学んでいることの延長線上に、仕事があることを受け止めている様子でした。

【2】ミニチュアを通して構造を確かめる
ITの概念を学んだあとは、視覚的に理解を深める時間です。 当社が企画・総合監修をしたカプセルトイ「手のひらネットワーク機器」を使ったジオラマを披露しました。本物そっくりに作られた小さなサーバーラックやLANケーブルをじっと覗き込み、手元の資料と照らし合わせながら細部を観察している姿が印象的でした。

【3】社員トーク。エンジニアの「リアル」を知る
続いて、今回の案内役を務める原谷さんによるトークです。 「実は中学で算数が数学に変わった瞬間、理系は無理だと心を閉ざしてしまった」という原谷さんの告白には、等身大の悩みとして親近感を持った生徒さんもいたようです。
しかし、留学先で「英語力があればエラー文が読める」と気づいたことや、今の武器は「伝える力」であることを話すと、生徒たちの表情が少しずつ柔らかくなりました。自身の経験をベースに、生徒さんたちの「理系でなければいけない」という先入観を解いていく時間となりました。

原谷さんが仕事の魅力として「自分の成長が目に見えて分かること」や「人々の生活を支える実感」を挙げる一方で、避けて通れない大変さとして伝えたのが「常に新しい技術を学び続ける必要があること」でした。
この「学び」という言葉に反応するように、生徒さんからは率直な質問が投げかけられました。
「プライベートでは、どのくらい勉強しているんですか?」
「残業時間はどのくらいありますか?」
お父さんや親戚がエンジニアで、身近な職業ではあるけれど、具体的に何をしているのかはよく分からないという生徒さんもおり、だからこそ「プロとして働く生活のリアル」を自分事として確かめようとする姿勢が感じられました。
これらの問いに対し、原谷さんは「私の場合、勉強時間は1日平均30分〜1時間くらい。現場で経験を積みながら学んでいける環境があるから大丈夫。残業も平均30分程度で、上司も定時で帰ることを推奨してくれています」と回答していました。

【4】オフィス見学から名刺交換へ。社会人の日常をのぞいてみる
最後は、執務エリアの見学です。
複数のモニターや、専門書が並ぶライブラリー、そして実際に稼働しているサーバー。先ほどジオラマで見たものが、現実のインフラとして「動いている」光景を、一つひとつ確かめるように見学していました。

プログラムの締めくくりは、原谷さんとの「名刺交換」です。 初めて手にする本物の名刺をまじまじと見つめながら、少し照れくさそうに「ありがとうございます」と受け取る生徒さんたち。その姿は、社会という世界を少しだけ近くに感じた、初々しくも誠実な一歩に見えました。
最後に全員で記念撮影をして、約2時間のプログラムは終了。今回の訪問が、彼らの将来を考える小さなきっかけになればと願っています。


文系出身エンジニア・原谷が伝えたかったメッセージ
当日のスピーカーを担当したのは、2025年に新卒入社した原谷さん。今回の企業訪問で伝えたかったことについて聞きました。
原谷 光(はらたに ひかる) iTOC事業部 EDT部 CRSi
2025年新卒入社。大学では外国語学(英語)を専攻。未経験からインフラエンジニアとしてキャリアをスタート。ネットワークの運用保守を経て、現在は設計構築チームにて活躍中。「技術力×伝える力」を磨き、顧客から信頼され「相談されるエンジニア」を目指している。
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──案内役として中学生の前に立つことについて、どのように感じていましたか?
原谷:広報の方からお話をもらい、すぐに「やってみたい!」と思いました。 というのも、僕自身が中学生の頃、まさに彼らと同じようなことで悩んでいたからです。
小学生まではロボット作りや機械いじりが大好きだったのに、中学に入って「算数」が「数学」に変わった瞬間、急に苦手意識が芽生えてしまって……。「あ、自分は理系じゃない。だからIT業界は無理だ」と、勝手に心のシャッターを閉ざしてしまったんですよね。だからこそ、今の彼らに「自分の可能性を狭めないでほしい」と伝えたいと思っていました。
── 実際に生徒さんたちと話してみて、手応えはどうでしたか?
原谷: 僕の経歴を紹介しながら「実は、数学が得意じゃなくてもエンジニアにはなれるんだよ」と話した時、みんなが「へぇ〜!」と顔を上げたのが印象的でした。
やはり「エンジニア=理系・数学」というイメージは根強いんだなと感じました。今回、文系・未経験の僕がエンジニアとして一歩を踏み出している姿を見せることで、少しでもその誤解を解くことができたなら嬉しいです。「自分には向いていない」と決めつけず、もし少しでも興味の先がITに向いているなら、ぜひその扉を叩いてみてほしいですね。
── 質疑応答では、かなり具体的な質問も出ていましたね。
原谷: そうなんです。「勉強時間はどれくらい確保していますか?」「プライベートな時間はありますか?」といった質問が出た時は驚きました。皆さん「働くこと」をすごくリアルに、自分事としてシミュレーションしているんだなと感じて。
もちろんプロである以上、学び続ける必要はあります。でも、決して勉強漬けになるわけではなく「自由な時間もしっかりあるし、働き方は自分でデザインできるんだよ」というリアルな実感を、安心してもらえるように伝えました。
中学生という時期は、何かに「ワクワク」する気持ちが一番大きい、かけがえのない時期だと思います。大人になってから勉強する時間は作れても、中学時代の友人との時間や、その時しかできない経験は、後から取り戻すことはできません。だからこそ「今を全力で楽しんでほしい」という想いが、彼らに届いていれば嬉しいですね。
なぜ、APCは学生による企業訪問活動を行うのか
APCが長年、中学生や高校生の企業訪問を受け入れ続けている理由について、広報の小松さんはこう語ります。
私たちがこの活動を大切にしているのには、二つの理由があります。
一つは、子供たちに「働くって面白そうだな、社会人になるのが楽しみだな」と思ってもらうきっかけを作ること。そしてもう一つは、実は社員のためでもあります。
今回、2025年新卒入社の原谷に案内役を託したのにも理由があります。現場に出たばかりの若手社員は、日々の業務に追われる中で、自分は成長できているんだろうかと不安になりがちな時期でもあります。そんな今だからこそ、自分より若い世代に向けて自分の仕事を語ることは、最高の振り返りの場になると考えています。
なぜこの仕事を選んだのか、どんな苦労を乗り越えたのか。等身大の言葉で語ることで、自分自身の成長を再確認し、初心に帰ることができる。いわばこの活動は、未来への投資であると同時に、若手社員の背中をそっと押すための大切な文化なのだと捉えています。
APCでは親世代の社員も随分と増えてきました。だからこそ、自分達の子供を思うのと同じように、世の中の子供たちの未来を応援できる会社でありたいと思っています。これからも、中学生たちが自分の可能性にワクワクできるような、社会への扉を開け続けたいと思っています。(広報 小松)
企業訪問をご希望の学校関係者の皆さまへ
APCでは、中学生・高校生向けの企業訪問を随時受け付けています。
ご興味のある方は、下記フォームよりお気軽にお問い合わせください。
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