2026/09/01
予期せぬ変化を強みに。「キャリアに責任を持つ」思考法【人事・小山が迫る、APC社員のキャリア戦略 Vol.5】
変化の激しいIT業界では、転職をすることでキャリアを築くスタイルが珍しくありません。しかしエーピーコミュニケーションズ(以下、APC)には、10年、20年と腰を据えて長く活躍し続けるエンジニアが数多く在籍しています。
なぜ、彼らはAPCを選び続けるのか――。
今回は、APC在籍17年目を迎えたマネージャーの出水さんに話を聞きました。44歳で直面した失職の危機、人材育成へのチャレンジ、そしてコーチングやキャリアカウンセリングの資格取得など、多くの転機と挑戦に向き合ってきた出水さん。「自分のキャリアにどう責任を持ち、市場価値を高めていくのか」を、人事・小山との対談から紐解きます。
出水 俊介 (でみず しゅんすけ) iTOC事業部 EDT部 マネージャー
1989年に社会人となり、一貫してUNIX系サーバーエンジニアとして活躍。2010年APC入社。プロジェクトマネージャー、社員育成部門、エンジニア部門管理職と柔軟に役割を変えながら活躍。急遽の体制変更で育成を担当したことをきっかけにコーチングやキャリアカウンセリングを学び資格取得。現在はクライアントワーク部門のマネジメントに従事。趣味はスキー。
小山 清和(こやま きよかず) コーポレート部門 戦略人事本部 Talent Acquisition部 部長
飲食業界、人材ビジネスを経て、2016年10月より前職のグッドパッチに入社し採用体制の構築や採用ブランディングを推進し、IPOも経験。2023年11月にAPCへ入社し、現在は全社の採用戦略を統括する。副業ではプロコーチとしても活動中。
44歳でのリストラ。本当の市場価値と向き合った
小山:出水さんは2010年にAPC入社、現在17年目でエンジニア部門のマネージャーとしてだけでなく、社員育成や各種研修の企画・運営など非常に多角的に活躍しています。まずは自身のキャリアの原点と、APCに転職を決めたきっかけを教えてください。
出水:実は、APCに入社した背景には、自分の人生最大の危機がありました。それまで順調だと思っていたエンジニア人生が、44歳の時に突然崩れ去るという経験をしまして。
小山:何があったのでしょうか。
出水:2008年のリーマン・ショックによるリストラです。社会人となって以来、一貫してUNIX系のサーバーエンジニアとしてキャリアを重ねてきました。1999年に最初の転職を経験し、2社目の会社でも約10年間にわたり現場に立ち続け、後半はプレイングマネージャーとして管理職も務めました。当時は「この会社で、あと10年は働けるだろう」と、どこか甘く考えていた部分があったんです。
ですが、世界的な景気後退のあおりを受けて会社の業績が悪化。大勢の社員とともに退職を余儀なくされました。
小山:そうだったんですね。私も同じ時期を人事として経験し、当時の採用市場は「え、あの会社がリストラ」という場面も多々あり、非常に厳しかったと記憶していますが、かなり困難な状況だったのではないでしょうか。
出水:本当に厳しかったですね。リーマン・ショック直後で求人が激減していて、当時は1年近く再就職先が決まらない同僚もいました。そんな厳しい状況下で、幸いにも私はAPCにご縁をいただいて入社することができました。
この経験で痛感したのは、「会社は、個人までは守ってくれない」「どこへ行っても通用する本当の市場価値がないと、生きていけない」ということ。この時に得た教訓が、その後の私のキャリアにおいて一貫した軸になっています。
▲人事の小山(左)とAPCに入社して17年目。これまでの歩みを振り返る出水(右)
予期せぬ転機をチャンスに。希少性を生む「スキルのかけ算」
小山:確固たる市場価値を築くための意識や姿勢は、APCに入社してからどのように広がっていったのでしょうか。
出水: 入社翌年の2011年に、大きな転機がありました。最初はもちろんエンジニアとして入社したのですが、教育部門で急な体制変更があり、「兼務で、エンジニアの教育・育成を手伝ってくれないか」と声をかけられたんです。
小山: エンジニアの役割に加え、新たに人材育成領域も担うことになったのですね。当時は葛藤や焦りもあったのではないでしょうか。
出水: 焦りはかなりありました。現場に専念するわけではないので、エンジニアとしての技術向上に不安もありましたし、人材育成の分野では当時の経験・スキルはゼロに等しかったからです。ですが、「どんな機会も自分の市場価値を高める強みに変えよう」と腹をくくりました。
小山:そして、その決意が、本格的なスキル習得へとつながっていったのですね。
出水:そうです。「やるからには社外でも通用するプロになろう」と考え、講習費用も自費で出し、コーチングやキャリアカウンセリングを学んで資格を取得しました。周囲に比べて年齢的にも遅いスタートだったので、講師からも「人の3倍努力しないと追いつかないよ」と言われて(笑)。とにかく夢中で勉強しました。
小山: その結果、【エンジニア × 人材育成】という独自の掛け算が生まれたわけですね。
出水: そうですね。最初は偶然の打診でしたが、あの転機から逃げずに学び深めたことが、結果として社内外で通用する自分だけの希少性につながった。後から振り返れば、これこそがキャリア理論でいう「計画的偶発性(プランド・ハップンスタンス)」だったのだなと思いますね。
16年いても飽きない。変わり続けるAPCで築くキャリア

小山: 出水さんはAPCに16年間在籍されています。長年同じ会社にいても現状に満足せず、第一線で挑戦し続けられるのはなぜでしょうか。出水さんが感じる「APCという組織の面白さや魅力」を教えてください。
出水: 一言で言えば、会社自体が常に「良い方向へ変化し続けているから」ですね。非常に面白いのは、経営幹部の顔ぶれが大きく変わっていないにもかかわらず、時代や市場の波に合わせて事業や組織が、柔軟かつ劇的にアップデートされ続けている点です。
例えば、社長の内田は元銀行員であり、エンジニア出身ではありません。だからこそ、良い意味で特定の技術に執着せず、常に「市場から何が求められているか」という客観的な視点を持っている。この視点があるから、変化を恐れずに変革を起こし続けられるんです。会社自体が常に変わっていくので、16年いても全く飽きることがありません。
小山: そうして会社が進化を続ける中で、現場を引っ張るマネジャーとしては、メンバーとどのように向き合っているのでしょうか。
出水: 私がメンバーに伝えているのは、「自分のキャリアに責任を持てるのは自分しかいない」ということです。最近は「これがやりたい(Will)」と主張する人も多いですが、私は「まず自分ができること(Can)を増やそう」と話しています。会社からの期待(Must)に応えて自分の引き出し(Can)を広げていくからこそ、本当の意味でやりたいこと(Will)を実現できるからです。
当然、言葉だけで終わらせるつもりはありません。「もっと成長したい」と覚悟を持って手を挙げるメンバーには、私も正面から本気で向き合い、一人ひとりとことん対話し続けます。本気で伸びようとする仲間に伴走することが、私のマネジメントですね。
小山:「メンバーの自律」に対して、マネジャーとしても覚悟を持って向き合っているんですね。
出水:そうですね。私自身、突然の失職や環境の激変といった挫折を経験し、「自分のキャリアに責任を持てるのは自分しかいない」という現実を身をもって痛感してきました。だからこそ、メンバーにも環境のせいにせず、自分の手で市場価値を掴み取ってほしいんです。
APCには、そうやって自立して前へ進もうとする人を絶対に見捨てず、果敢に挑める環境があります。「指示された仕事をこなす安定」ではなく、「どこへ行っても通用する本物の実力」を本気で手に入れたい人なら、変化し続けるこの場所で、どこまでも自分のキャリアを進化させていけるはずです。
【人事・小山の視点】自らの足で立ち、変化を受け止め「強み」に変えていく

出水さんが抱いた危機感や実体験は、変化の激しい現代において非常に本質的な示唆を含んでいます。「組織内での評価」だけに安住せず、「個人としての市場価値」を客観視し続ける意識こそが、長期的なキャリアの土台になるからです。
出水さんの歩みは、環境の変化や予期せぬ出来事のせいにせず、目の前の課題と逃げずに向き合うことで自らの「Can(できること)」を広げてきた歴史でした。できることを広げる手段としてはどうしても「転職」に目が行きがちですが、ひとつの組織の中にいながらも自らの強みを再定義し、希少性を掛け合わせていく。そして、常に限界を決めずに挑戦し続ける。これこそが、激変する時代において自立し、持続的に輝き続けるための「キャリアの捉え方」なのだと感じました。私は転職を繰り返す中でキャリアを築いてきている人間ですが、自身のキャリアの参考にもしたいと思える内容でした。
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