2026/08/24
APCで20年、現場を守るエンジニア。「地道にやり切る」キャリアの価値【人事・小山が迫る、APC社員のキャリア戦略 Vol.4】
変化の激しいIT業界では、環境を変えながらキャリアを築くスタイルが一般的になりました。しかし、あえて目の前の厳しい課題から逃げずにやり切る経験こそが、エンジニアとしての代替できない強みをつくる側面もあります。
2006年エーピーコミュニケーションズ(以下、APC)に入社し、今年20年目を迎える楠目さんもまたその一人です。様々な現場の壁に向き合いながら、どのように自身の強みやエンジニアとして深みを得てきたのか。7回の転職を経験してきた戦略人事・小山との対談から、キャリアに対する考えを聞きました。
楠目 義忠(くすめ よしただ) iTOC事業部 CWE部 CODCサービス マネージャー
神奈川県横浜市在住。IT業界未経験で、2006年にAPCに入社後、大手SIerや官公庁向けのネットワーク・サーバー運用保守業務を経験。2018年10月よりCODCサービスに参画し、お客様の社内ネットワーク基盤の運用保守を担当している。現在は主にPalo Alto製品の設計・構築から運用・保守まで、幅広く手掛けている。
小山 清和(こやま きよかず) コーポレート部門 戦略人事本部 Talent Acquisition部 部長
飲食業界、人材ビジネスを経て、2016年10月より前職のグッドパッチに入社し採用体制の構築や採用ブランディングを推進し、IPOも経験。2023年11月にAPCへ入社し、現在は全社の採用戦略を統括する。副業ではプロコーチとしても活動中。
記憶が飛ぶほどの危機。「逃げて終わらせたくない」という原動力
小山:流動性の高いIT業界において、APCには社歴10年以上のメンバーが全体の約2割を占めています。楠目さんもそのお一人ですが、これは非常に特徴的ですよね。私自身はこれまで7回の転職を繰り返してきたので、ひとつの会社で20年近く現場を支え続けている楠目さんの歩みには、すごく惹かれるものがあるんです。
楠目:いえいえ、私はただ地道に目の前の仕事に向き合ってきただけなので、大層なことは言えないのですが……(笑)。
小山:いえ、その「地道さ」の中にこそ、転職で得られる経験とは別の大きな価値があると思っています。
▲人事の小山(左)と、今年で入社20年目を迎えたマネージャーの楠目(右)
小山:まず最初に、楠目さんが現在担当されているチームのミッションや役割について教えてください。
楠目:現在は、CWE部という部署で、取引先企業様の社内システム基盤におけるネットワーク運用保守を担当しています。主にPalo Alto製品の次世代ファイアウォール製品を中心に、セキュリティ運用の設計・構築から保守までを一括して請け負っています。
小山:Palo Alto製品はAPCとしても大きな強みを持っている領域ですし、自社の技術支援チームとも連携する、かなり規模の大きなプロジェクトです。
これまで長年現場を支えてこられた楠目さんですが、キャリアを振り返ってみて、特に記憶に残っている厳しい局面や壁にぶつかった経験はありますか?
楠目:強く印象に残っているのは、数年前にあったプロジェクトの体制変更です。
当時、構築・運用・保守の3チームがあり、私は構築と運用のサブリーダーを担当していました。しかし、新メンバー3人を迎えたばかりのタイミングで、保守チームのサブリーダーが現場を離れることになってしまったんです。
すべての領域を私が引き継ぐことになった上に、保守業務のバージョンアップ計画まで重なって一気に仕事量が跳ね上がりました。私自身も未経験の領域が多い中、メンバーをフォローしつつ、自分も手足を動かす。それはもう当時の記憶が飛ぶほど必死でした。
小山:それは想像を絶する状況ですね。担当外の領域までキャッチアップしつつ、チーム全体を牽引するのはかなり大変だったと思います。思わず挫けてしまいそうな状況だったと思いますが、何が楠目さんを踏みとどまらせたのでしょうか?
楠目:シンプルに、「きついから」という理由で途中で投げ出すのが悔しかったんです。任された以上は責任を果たしたいですし、何より今の仕事にやりがいを感じていたからこそ、「逃げて終わりにするのはもったいない」という感覚がありました。
途中で投げ出したところで自分自身が変わるわけでもない。「ただ逃げただけ」で終わらせたくないという想いが、踏みとどまる一番の原動力だったのだと思います。
「自分でやった方が早い」の罠。失敗から学んだ任せる覚悟
小山:なかなか人は話しづらい内容をお話いただきありがとうございます。結果的には見事に壁を乗り越えられたわけですが、乗り越えたからこそ見えてきた、反省点などはありましたか?
楠目:一番の反省であり学びだったのは「メンバーへの任せ方」です。私はもともと「自分がやった方が早い」とタスクを抱え込んでしまうタイプでした。
あの危機の際、メンバーにタスクを渡したのですが、普段から積極的に依頼していなかった分、求めるクオリティや方向性をうまく共有できなかったんです。結果として手戻りやフォローに追われ、かえって自分の仕事を増やしてしまいました。普段からメンバーに責任ある仕事を渡し、成長を促す機会を作っておく大切さを痛感しましたね。
小山:急に振ってもうまくいかないという、苦い経験をされたわけですね。私自身もそういった経験があるのですが、その失敗を経て、具体的にどのような関わり方に変えていかれたのでしょうか?
楠目:タスクそのものだけでなく、「任せ方のアプローチ」をガラッと変えました。最初に目指すべき目的やゴールをしっかり共有し、途中のやり方は本人の主体性に委ねるようにしたんです。
細かく指示しすぎない代わりに、「あの件どう?」とこまめに声をかけて、困りごとや進捗、本人のコンディションまで確認する。こうした関わり方を重ねる中で、少しずつメンバーの自主性を引き出すマネジメントができるようになってきたと感じています。

一見遠回りな経験こそが強みに。確かな信頼の築き方
小山:20年近く現場やチームに関わる中で、楠目さんが仕事に向き合う上で「これだけは大切にしたい」と思っていることは何でしょうか?
楠目:「一つひとつの問題や作業を、絶対にうやむやにしないこと」です。私たちが担っているネットワーク運用保守という領域は、小さな油断や手順の抜け漏れが、お客様の事業活動そのものを止めてしまうリスクと隣り合わせです。だからこそ「事故は絶対に起こせない」という緊張感が常にある。長年この領域で現場に立ってきた中で、どんな作業でも曖昧さを残さず、納得いくまで向き合う意識が自然と身についたのだと思います。
小山:IT業界、特にSESでは、効率優先で「とにかく案件を回す」という方向に流されがちなこともありますよね。その点、APCの現場はどう感じていますか?
楠目:APCは本当に「品質第一」の考え方が徹底しているなと実感します。現場で使われている手順書ひとつ取っても、チェック基準の厳しさやクオリティへのこだわりが非常に強い。これは、これまでこのプロジェクトを支えてきた先人たちから受け継がれている、品質に対する姿勢があるからこそです。
小山:まさに、楠目さんのような現場のエンジニアが愚直に向き合い続けてきたから、APCの「品質第一」という文化がしっかり根付いてきたわけですね。
そうやって、目の前の課題や大変なトラブルから逃げずに向き合い続ける姿勢は、エンジニア個人のキャリアにとってどのような意味を持つと思いますか?
楠目:特に若い世代だと、どうしても「効率よくスマートに業務をこなすこと」に目が行きやすい部分もあると思うんです。もちろん、効率的でスマートな仕事の仕方は魅力的です。ですが、個人的には一見遠回りに見えるような、課題や大変なトラブルに向き合った経験こそが、エンジニアとしての成長を後押ししてくれると思っています。
どんなにトレンドの技術を扱っていても、実際の現場では予期せぬトラブルが起こります。そこから逃げずに原因を突き止め、解決までやり切る。その経験があって初めて、「次はどう動くべきか」という本当の応用力が身につきます。その積み重ねこそが、他人に代替されないエンジニアとしての強さになり、最終的には信頼という一番揺るぎない価値になるのだと思います。
だからといって、一人で抱え込む必要はありません。APCには、壁にぶつかった時に親身に相談に乗ってくれたり、泥臭く挑戦する背中を押してくれたりする文化や環境があります。だからこそ、これから入社する方にも「地道に向き合うのも捨てたもんじゃないですよ」と伝えたいなと思っています。
【人事・小山の視点】正面から向き合い切ったからこそ高まる市場価値

効率やスピードが重視される現代において、目の前の壁と地道に向き合い続けることは、 一見遠回りに思えるかもしれません。しかし、直面した試練から目をそらさずやり切った経験こそが、どんな技術トレンドの変化にも揺るがないエンジニアとしての「本物の底力」に変わるのだと、楠目さんのお話から改めて実感しました。そしてこれはエンジニアだけではなく、その他の職種にも共通することでもあるかと思いますし、自分自身もそういった試練を乗り切った時に成長を感じることが多くありました。
このような泥臭い挑戦や品質へのこだわりを一人ひとりが体現し、それを会社全体で温かく支える風土があること。これこそがお客様からの揺るぎない信頼を生み出すAPCの真の強みであり、私たちがこれからも大切にしていきたいカルチャーです。
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