2025/10/20
【プロフェッショナル職】「知的好奇心」がキャリアになる。52歳でエンジニア復帰、セキュリティの最前線へ

エーピーコミュニケーションズ(以下、APC)には、エンジニアがエンジニアであり続けるための「キャリアパス」が複数あります。
紹介するのは「プロフェッショナル職(以下、プロ職)」です。ミッションは、専門分野を掘り下げ、技術力を持って社内外のエンジニアから一目置かれる存在を目指すこと。そのために社内外の技術イベントや勉強会での登壇、書籍出版、OSSの開発やコントリビュートなど多岐にわたる活動を通じて、日々、自己研鑽をもとにアウトプットを続けています。
今回は、ブランクを経て52歳で復職し、現在はシニアプロフェッショナルとしてサイバーセキュリティの最前線で活躍する田中さんに話を聞きました。プロ職を選んだ理由、プロ職として働く醍醐味、今後の展望について語ってもらいました。
APCのキャリアパス制度設立の背景や概要は以下でもご紹介しています。ぜひこちらもご覧ください。
APCだから叶う、エンジニアがエンジニアであり続けるキャリアパス
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田中 潤子(たなか じゅんこ)
iTOC事業部 BzD部 0-WAN / シニアプロフェッショナル
文系大学卒業後、SIerでSEとして開発に携わった後、育児のためキャリアを中断。50代に入り、セキュリティエンジニアとしてキャリアを再出発。現在は0-WANでSOC業務を担当。サイバーセキュリティのトレーニングサイト『TryHackMe』では上位1%に入るスキルレベルを誇るなど、その探究心と熱意はチームからも高く評価されている。コミュニティ『CTF for GIRLS』の運営にも力を注ぐ。
15年のブランクを経て、再びエンジニアの世界へ
—— 田中さんのこれまでの経歴と、現在の業務内容について教えてください。
田中:大学卒業後、SIerにプログラマーとして入社し13年ほど経験を積みました。エンジニアの仕事が本当に好きで、徹夜も残業も苦ではなかったのですが、妊活を機に退職し、専業主婦になりました。そこから15年、二人の子育てに専念していましたが、2023年に52歳でAPCにセキュリティエンジニアとして復職しています。
現在は、iTOC事業部の0-WANで、シニアプロフェッショナルとして働いています。主な業務は、EDR製品を導入いただいたお客様へのインシデント対応支援、いわゆるSOC(Security Operation Center)業務です。それと並行して、CTEM事業を展開するために新規事業の立ち上げ準備も進めており、マーケティング業務も担当しています。
—— 15年というブランクからの復帰は大変だったのではないでしょうか。
田中:転職活動はめちゃくちゃ苦労しました(笑)。年齢とブランクの長さ、そして当時はまだ珍しかったリモートワークも条件にしていたので、書類選考すらなかなか通りませんでした。60社ほどエントリーしましたが、書類を通過したのはわずか2社。厳しい状況の中、APCから内定をいただくことができました。
復帰を考え始めたきっかけは、専業主婦として過ごす中で、セキュリティコンテストイベント『SECCON』の存在を知ったことでした。
トップレベルのハッカーたちが集まる雰囲気がとても刺激的で、「自分もあの仲間に入りたい」と強く感じたんです。そこから『TryHackMe』というサイバーセキュリティのトレーニングサイトに夢中になり、毎日学習を続けました。試行錯誤しながら答えを見つけ出す過程が純粋に楽しくて、セキュリティという分野が、私の好奇心を最大限に満たしてくれる領域だと確信したんです。
好奇心が勝るなら、不安を恐れずやってみる
—— 田中さんが、プロ職を選んだ経緯と理由について教えてください。
田中:最初は一般社員として入社しました。1年ほど経った頃、上長からプロ職の話をもらいました。
APCのプロ職の定義は、知的好奇心を満たしながら、何かを作り出していく過程に喜びを感じるという自分の価値観と完全に一致していたので迷いはありませんでした。
一方で、「自分にできるかな」という不安もあったんです。その理由の一つは、周りのプロ職の方々のレベルが非常に高かったことです。知識レベルも経験も、圧倒的。社外のエンジニアから注目を集める人も多く、まさに“プロフェッショナル”と呼ぶにふさわしい方々ばかりでした。
—— それでも、やってみようと思えたのはなぜですか?
田中:私は「不安からくる迷いであれば、まずやってみる」ということを大事にしています。もちろん、そこに「やりたくない」と自分の中に明確な答えがあるのであれば、きっとやらないでしょう。しかし、やってみたい気持ちがあるなら、チャレンジする。最終的にはもともとの好奇心が不安を上回るのだと思います。
試行錯誤の末、難解なログを解き明かす面白さ
—— プロ職として働く上で、面白さや醍醐味を感じるのはどんな瞬間ですか?
田中:プロ職としてというより、エンジニアとしての視点になってしまいますが……
やはり試行錯誤の末、答えにたどり着いた時です。お客様の環境で発生したアラートを調査する際も、様々なログを一つひとつつなぎ合わせ、原因を特定できた瞬間に喜びを感じます。「ここはどうなっているんだろう?」「もしかしたらこの可能性もあるかもしれない」と、あらゆる角度から分析し、一つひとつピースをつなぎ合わせて、問題の原因を探る。その過程は苦労も伴いますが、すべてがつながった瞬間の達成感は格別です。
また、APCには優れたスキルを持つエンジニアがたくさんいるので、彼らとの対話から多くの学びや刺激を受けています。サイバーセキュリティ分野に携わるメンバーと「こんな問題がある」「このソリューションはどうだろう」と、遠慮することなく意見をぶつけ合い、切磋琢磨できる環境は本当に貴重ですし、楽しいですね。
—— エンジニアとして、のびのびと活動している印象を持ちました。
田中:そうかもしれませんね。そして、プロ職というキャリアパスを筆頭に、そういった取り組みを支援してくれるAPCの制度やカルチャーにも感謝しています。例えば、社内勉強会や研修制度はもちろん、外部eラーニングの受講支援や資格取得支援金、イベント登壇手当などのサポートがあります。
同時に評価する仕組みも整っていて、実際に、報告書作成を自動化するプログラムを自発的に開発したところ、上長が高く評価してくださり、結果的に昇給につながりました。
また、フルリモートOKという働き方の柔軟性も、家事・育児との両立が求められる私にとっては大きな魅力です。子どもの学校行事などがある際は、チームに相談して時間休を取らせてもらうなど、本当に助けられています。
—— 一方で、どのような場面で難しさを感じますか?
田中:これは自身の課題でもありますが、専門知識を他者に正確に「伝える」ことに難しさを感じています。例えば、新しい攻撃手法の危険性を繰り返し伝えていても、「初めて聞いた」と言われることもあります。伝え方を工夫しても、なかなか意図通りに届かないもどかしさを痛感しています。
また、私自身の探求心と業務効率のバランスを取ることも課題です。一つのアラートを調べ始めると時間を忘れてしまう傾向があるので、プロとして品質を追求したい気持ちと、ビジネスとしてのスピード感の両立を常に意識しています。
技術発信は、会社とお客様のため。そして未来の自分のため
—— プロ職のミッションに「社内外のエンジニアから一目置かれる存在を目指す」とあります。そのために、どのような活動をしていますか?
田中:大前提として、「一目置かれる」というのは「自分が目立つこと」ではありません。一番大切なのは、お客様に信頼していただき、選ばれ続けること。そして、APCという会社のプレゼンスを高め、新しいお客様との出会いを創出することだと思っています。
そのゴールから逆算して、必要な情報発信を考えています。具体的には、技術ブログの執筆や、IPAが公表する「情報セキュリティ10大脅威」の選考委員としてメディア向けの講演やデモといった活動です。また、情報セキュリティ技術に興味がある女性を対象にした社外のコミュニティ『CTF for GIRLS』の運営にも力を入れていますね。
事業を拡大するためには、まずAPCを知ってもらうことが第一歩です。価値ある情報の発信を通じて認知度を上げることで、思いもよらないところから新たなビジネスチャンスが生まれる。最終的には、自分の仕事として返ってくると考えています。
目指すは80歳。世界で通用するエンジニアへ
—— 最後に、今後の目標について聞かせてください。
田中:私の長期的な目標は「80歳まで世界で通用するエンジニアであり続けること」です。
その実現に向け、今後は自身の専門であるサイバーセキュリティと、過去にエンジニアとして経験を積んだ自然言語処理を融合させた新しいサービスの開発に挑戦していきたいと考えています。将来的には、このサービスで特許を取得するのが夢ですね!
APCという会社はもちろん、業界、ひいては国全体のセキュリティレベル向上に貢献できるような活動を続けていきたいです。
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