2025/11/05
教える経験が、キャリアを加速させる。 「Java愛」から始まった講師挑戦が、開発の上流工程へ。
エーピーコミュニケーションズ(以下、APC)の社内大学「APアカデミー」では、およそ100種にも及ぶ講座を展開しています。大きな特徴は、現場で活躍するエンジニアが講師を務めている点です。現場での学びや気づきを“生きたノウハウ”として、社内のエンジニアに還元しています。
現在、プロフェッショナル職としてCI/CD環境構築やJava Webアプリケーション開発を担う菅家も、その一人。「APアカデミー」講師としての顔も持っています。「Javaが大好き。その面白さ、奥深さを伝えていきたい」と語る菅家。インフラと開発、両方の視点を持つマルチエンジニアとして後進の育成にも情熱を注ぐ彼女に、「講師というキャリア」について聞きました。
菅家 さつき(すがや さつき)
クラウド事業部 IaC技術推進部 Cloud Native Group シニアプロフェッショナル
和歌山県在住。SIer企業へ新卒入社。言語マイグレーションツール開発、Java Webアプリケーション開発などの案件を経験し、新人研修の講師も担当。その後、技術者として視野を広げるためインフラ分野への挑戦を決意。2021年4月、APCに入社。クラウド事業部にて、CI/CD環境構築、Java Webアプリケーション開発などの案件を担当。2022年より社内大学「APアカデミー」の講師として、プログラミング初心者、Java初心者を対象とした「Java研修」の企画・運用を行っている。現在は講師活動での評価がきっかけとなり、開発案件にも従事。インフラの知見も活かしながら、上流工程(基本設計)を担当している。
インフラへの挑戦と、再燃した「Java愛」
—— これまでの経歴と、APC入社後の業務について教えてください。
菅家:前職ではSIerでアプリケーション開発に携わっており、そこでJavaに出会い、その面白さにすっかりはまってしまいました。そこから6年ほど開発経験を積んだ後、エンジニアとしてさらに視野を広げるため、インフラを学びたいと思うようになりました。その理由は、開発に携わる中で“優れたエンジニアは、インフラもよく理解している”と実感したからです。そこで、一度アプリ開発から離れてインフラに強みを持つAPCへの入社を決めました。
APCに入社してからはインフラエンジニアとして、サーバー構築や監視ツールの設定など、学びたかった領域に没頭しました。しかし、不思議なもので、開発から離れたことで自分がどれだけプログラミング、特にJavaが好きだったかを再認識させられたのです。
Javaはオブジェクト指向のプログラミング言語で、私にとってはパズルのような感覚です。いろいろなパーツを組み合わせて、立派なお城を作り上げる作業に似ています。「Java」をもっと探求したい、その面白さをもっと多くの人に伝えたい、そんな気持ちを強く抱くようになりました。
—— 「Java」への想いが、講師へとどうつながったのでしょうか?
菅家:社内の研修制度「APアカデミー」の存在を知り、他の講座を見ているうちに「自分もここでJavaの講座を開きたい」という気持ちが強くなったんです。前職では新人研修の講師を務めた経験があったので、それも後押しとなり上司に提案をしました。「やってみたらいいんじゃない?」と言っていただき、『Java研修』を立ち上げ、講師を務めることになりました。
講座の内容は、全3回で「基本構文編」と「オブジェクト指向編」の2部構成です。オンライン動画学習プラットフォーム『Udemy』を活用した自主学習を中心に、座学1回、ハンズオン2回をオンラインで実施しています。すべてオンラインで完結するので、和歌山に住んでいる私でも問題なく運営できています。
現場で活きる「開発者の視点」を。会社のニーズとのすり合わせ
—— 講座の立ち上げはスムーズに進みましたか?
菅家:実を言うと、懸念もありました。APCはインフラに強みを持つ会社なので、当時はJavaを使った案件がそこまで多くありませんでした。ですから、「講座を立ち上げたところで需要はあるのか」「Javaを学びたい受講者が集まるのか」という不安があったんです。
そもそも、開発経験を持つ私が会社から期待されていたのは、DevOpsの推進などインフラ側が知るべき「開発者の視点やノウハウ」の共有だったという側面もあります。ですから、「自身がやりたいこと」と「会社のニーズ」に少しギャップがあったのも事実です。
—— その溝をどのようにして埋めていったのでしょうか。
菅家:単なるプログラム言語の学習にとどめず、「プログラミング言語の習得をきっかけに、将来の開発人材を育てる」という目的を掲げ、講座内容にも工夫を凝らすことにしました。
具体的には、初心者向けの内容ながらも、要所要所で「開発の現場で役立つ視点」を盛り込むことを意識したんです。
例えば、プログラムの書き方は人それぞれですが、ソースコードをレビューする際に、「インデントを整える」「必ず動作確認をする」といった基本的な習慣が、将来どれだけ開発現場で役立つかを具体的に伝えました。言語の研究で終わらせず、開発者としての基礎が習得できる講座を目指しました。
講師として目指す「1対1の信頼関係」
—— 菅家さんが、講師として大事にしていることは何ですか?
菅家:受講生と真剣に向き合い、仕事仲間としての「信頼関係」を築くことです。
これは、前職での経験から学んだことです。新人研修の講師アシスタントを担当した際に、通常の業務と並行していたこともあり、手一杯になってしまったことがあったんです。
13~14人ほどいた新人に対して、無意識に事務的な対応をしていたのだと思います。その様子を見ていた先輩講師から、「新人一人ひとりと真正面から向き合わないといけない。タスクを処理するように対応するのではなく、きちんと時間をとってそれぞれの話を聞かなければ、本当の意味での信頼関係は築けない」と指摘されました。その言葉が今でも心に強く残っています。
仲良く雑談しているだけでは友達のような関係です。もちろんそれも大切ですが、学び合う関係性ではありません。一方で、講師としてしっかり向き合うことができれば、講座が終わった後も、仕事の悩みについて相談をしてくれたり、「今、こういう業務を担当している」「これからこういうチャレンジをしたい」といった報告までしてくれたりするんです。
さらに、私からも「この人はここが得意だから、聞いてみよう」といった、仕事上での頼り合いも生まれます。講座の期間だけの関係ではなく、仕事仲間としてのパートナーシップを築くことが大事だと考えています。
—— 具体的にどのような対応を心掛けていますか?
菅家:課題レビューの場面では、その人の長所を認めながら、さらなる気づきにつながるよう「こういう書き方もあるよ」と補足説明を加えています。一人ひとりの個性やレベルに合わせた言葉で寄り添うことを大切にしています。
また「Java研修」はオンラインでの開催で、eラーニング期間中はチャットでのやり取りが中心です。対面ではないからこそ、質問しづらい雰囲気にならないよう、講座用のチャットチャンネルを作り、Javaに関するコツやポイントを定期的に発信しています。
その結果、研修最終日にはたくさんの質問が飛び交ってみんなで盛り上がったり、アンケートで「菅家さんのおかげで頑張れた」「手厚いサポートがありがたかった」という言葉をもらえたりして、受講生の成長が感じられてとても嬉しかったです。自分の「推し」であるJavaを好きになってくれたのかな、と感じる瞬間です(笑)。
講師経験がキャリアの転機に。念願の開発上流工程へ
—— 講師経験が、自身のキャリアに影響を与えたと感じることはありますか?
菅家:はい、講師を始めて数年になりますが、昨年大きな転機が訪れました。
ある時、私の上司が受講生として「Java研修」に参加してくれました。そこで私のJavaに対する情熱や指導内容を高く評価してくれた上司が、なんと新しくJavaの開発案件を開拓してきてくれたんです。
自分の「好き」を突き詰めた講座が、会社の新規案件受注につながり、私自身もやりたかった開発案件を担当することができました。これは講師をやっていなければ、決して起こらなかったことです。
さらに大きな変化は、その新しい案件で、前職では経験できなかった「上流工程(基本設計)」を任せてもらえたことです。
—— なぜ、APCでは上流工程にチャレンジできたのでしょうか?
菅家:前職では、インフラの知識不足がネックとなり、詳細設計より下流の工程がメインでした。プログラミングの観点では話せても、それが動く環境インフラとなると知識が足りず、自信が持てなかったんです。
しかし、APCでインフラエンジニアとしての経験を積んだこと、そして何より、APCにはインフラに圧倒的に強い同僚たちが周りにいるという安心感があります。今では、「インフラ部分はチームの専門家に任せ、私は開発の知見を提供する」という、チームでの補完体制ができています。これは、インフラに強みを持つAPCだからこそ実現できる体制だと実感しています。
開発エンジニアとしての経験、インフラエンジニアとしての経験、講師としての経験。すべてが線でつながり、エンジニアとしてのキャリアを確実にステップアップさせてくれています。
現場の知見が講座を進化させる。「エンジニア兼講師」の好循環
—— 現場での経験が、また「APアカデミー」の講座に活かされますね。
菅家:そう思います。「APアカデミー」の魅力は、現場の最前線で活躍するエンジニアが講師を務めていることです。講師自身が現場で日々新しい技術を学び続け、その“生きた”知見をすぐに講座コンテンツへ反映できる。講師の成長が、そのままコンテンツの成長につながっていることが、最大の価値だと思います。
私自身も開発現場に戻ったことで、Javaへの理解がさらに深まりました。「こういう新しい講座もできるかな」とアイデアがどんどん生まれるので、それをまた次の講座に反映していくつもりです。ゆくゆくは、Webアプリケーション開発をテーマにした講座も立ち上げたいと考えています。
—— 最後に「エンジニア兼講師」というキャリアに興味を持っている方にメッセージをお願いします。
菅家:「エンジニア兼講師」と聞くと、何か特別なスキルが必要に思えるかもしれません。ですが、私の原動力は「Javaが大好き」という純粋な情熱、ただそれだけでした。
実は、APCに入社した当初は、前職の開発経験と新たなインフラスキルの間で「自分のキャリアの軸はどこに置くべきか」と迷っていた時期があります。その迷いを振り払い、キャリアの大きな転機となったのが、「APアカデミー」で講師を始めたことです。
「好き」を教えることを通じて、APCにおける自分の確かな立ち位置を見つけられましたし、その活動が評価され、結果として担当した開発案件が社内表彰されるという成果にもつながりました。
APCには、現場の最前線で専門性を追求しながら、その経験を講師として後進に伝える機会があり、さらにそれが自身の新たなキャリアを切り拓く可能性にも満ちています。もし今、「これまでの経験を誰かに役立てたい」「人材育成に興味がある」、あるいは私のように「この技術が大好きだ」という熱い想いをお持ちなら、ぜひAPCで「エンジニア兼講師」というキャリアに挑戦してみてください。
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