2026/05/01
3年連続200%成長。全社MVP受賞を支えたLakehouse部「チームの安全性」の裏側
エーピーコミュニケーションズ(以下、APC)のLakehouse部は、データとAIという変化の激しい領域を専門とする組織です。直近3年間で各年約200%という爆発的な売上成長を達成し、2025年度下期のAPCアワードで、社内No.1の賞「MVP -NeoSIer賞 -」を受賞しました。
Lakehouse部は、顧客の本質的な課題解決に貢献したとして「成長牽引賞」の基準でも高く評価されています。大手企業の基幹システム構築など、難易度の高い案件を次々と成功させている背景には、どのような現場の工夫があるのでしょうか。
今回は、エンジニアリングマネージャーの阿部さん、メンバーの鄭(ジョン)さん、林(リン)さんの3名に話を聞きました。
阿部 和貴(アベ カズキ) iTOC事業部 GDAI部 エンジニアリングマネージャー
大学院でDeep Learningを用いた画像認識の研究をした後、商社において計測機器の研究および機械学習を用いた測定値の予測開発を行う。APCでは、主にDatabricksを活用したデータ分析基盤の導入や活用支援の案件に従事。並行してプリセールス及びポストセールスも行い、案件の受注から遂行、その後の活用支援まで一気通貫で担当。
鄭 收娥 (ジョン スア) iTOC事業部 GDAI部 Lakehouse
韓国出身。大学で空間情報工学およびビッグデータ分析学を専攻し、GISを用いた非構造データ分析や、SQL・Python・Rを活用した分析スキルを習得。卒業後、韓国のコンサルティング会社にてエネルギー・環境分野の調査や戦略立案に従事した後、来日。現在は、Databricksを基盤としたデータエンジニアリング、チャットボット開発、生産管理シミュレーション開発などを担当している。
林 耿萱 (リン コウケン) iTOC事業部 GDAI部 Lakehouse
大学院では最適化およびアルゴリズム分野を専攻。前職ではData Analytics Engineerとして、Databricksを用いたデータプラットフォーム基盤の開発・運用、サービス関連のデータ分析や可視化を担当。現在は、Databricksを活用した顧客環境のパフォーマンスチューニングやマイグレーション作業に従事。現場の課題に即した適切なサービスの提案も行っている。
上司・部下の壁はない。最新技術に挑むフラットな関係
── まずは、みなさんが所属するLakehouse部の役割について教えてください。
阿部:一言で言うとエンタープライズ企業向けに、データとAIの活用基盤を構築・支援するチームです。単純なツールの導入ではなく、将来の拡張性を見据えた設計や、お客様が自ら運用できる内製化の支援までを一貫して行っています。
具体的には、Databricksなどのプラットフォームを活用したデータ基盤の構築、機械学習モデルの実装、さらには最近ニーズの強い生成AIの導入支援など、データAI領域の技術的なハードルを、お客様と一緒に乗り越えていく役割を担っています。
── 3年連続で売上200%成長という驚異的な成果を出し、MVP受賞。現場の皆さんから見て、これは当然の結果という感覚だったのでしょうか?
阿部:いえ、正直なところ、自分たちが受賞するとは全く思っていませんでした。確かに売上の成長率は高いのですが、組織の規模としては他の部署に比べればまだ小さい方です。急成長の真っ只中にいたので、表彰を意識するというよりは、目の前の変化に必死に対応してきた3年間でした。
鄭(ジョン):私も同じく、びっくりしました。実はノミネートされていたことすら知らなかったので、嬉しいというよりは驚きの方が強かったです。
林(リン):私もまだ入社1年目なので、「これからもっと貢献していくぞ」という段階でした。そんなタイミングでMVPという大きなお話をいただいたので、まだ少し不思議な感覚です。
── 阿部さんは、なぜこれほどの成長が実現できたのだと思いますか?
阿部:社内外での認知度が上がったこともありますが、やはり100%プライム案件(直請け)で、1人当たりの付加価値を高く維持できていることが大きいと思います。ただ、それを可能にしている根底には、個人のスキル以上にLakehouse部のカルチャー、風土があるように感じています。
── 「Lakehouse部の風土」とは、具体的にどういうことでしょう?
阿部:部署の中に「上司と部下」という固定的な立場を作らないことは、僕個人のこだわりでもあり、部全体の共通認識でもあります。誰もが自分の考えを迷わず口に出せる。そんな文化を全員で大切にしています。
特に僕らが扱う領域には、唯一無二の正解はありません。だからこそ、年次や役職に関係なく多角的な視点でディスカッションを重ねること自体が、プロジェクトを成功に導くための合理的な手段であり、組織としての大きな強みになっているんです。
鄭(ジョン):そのフラットな空気は、現場でも強く感じますね。私の前職のコンサルティング業界は、その特性上、トップダウンでの意思決定が中心となる組織でした。それに対して、Lakehouse部のコミュニケーションは非常にフラットです。自分が思いついたアイデアを、すぐに案件の打ち合わせで提案できる。このスピード感は、以前の業務環境とは明らかに異なる部分ですね。
── そのフラットな関係は、エンジニアとしての働きやすさにつながっていますか?
鄭(ジョン):そうですね。特にAIのような移り変わりの激しい技術に関しては、フラットな文化の方が合理的です。技術は日進月歩で進化しており、次々と新しいものが出てきます。社歴や経験に関係なく、その時一番新しい情報をキャッチアップしたメンバーが意見を出した方が、結果的にお客様により良い提案ができますから。
阿部:そう言ってもらえると嬉しいですね。鄭さんや林さんのように多様なバックグラウンドを持ち、日本に来てまだ期間が短いメンバーも、ちゃんと自分の意見を持って対等に議論に参加してくれる。その能動性に、マネジメント側である僕自身もすごく助けられているんです。
2時間後のすり合わせ。プロジェクトを越えて知恵を動員する仕組み
── 急成長の過程では、案件が重なり負荷が高まるといった局面もあったのではないでしょうか。
林(リン):ありましたね。内容も複雑でボリュームもすごい案件があって、正直、ずっと「時間が足りない」という感覚でした。でも、そんな時でも1人で抱え込んで行き詰まることはありませんでした。
── 具体的に、どうやってその状況を乗り切ったんですか?
林(リン):チーム全員で、問題を細かく切り分けて解決していきました。
例えば、翌日の資料準備が間に合わないという時は、各自で作業を分担し、あえて2時間後に打ち合わせを入れるようにしていました。進捗を確認して不明点をその場で解消し、次の2時間でやるべきことの目線を合わせる。
そうやってクイックに相談できる場をあらかじめセットしておくことで、独りで悩んで手が止まるという時間をなくしていきました。
── かなり密な連携ですね。
林(リン):そうですね。人によって経歴も考え方も違うので、自分の知識が及ばない部分は他の方の視点を借りる。自分のアイデアと仲間の知恵を掛け合わせて、具体的な解決策を導き出す。あの密なコミュニケーションがあったからこそ、高い品質を維持したままやり切れたんだと思います。
鄭(ジョン):私も林さんと同じで、自分が担当したタスクで解決が難しい場合は、すぐにプロジェクトのメンバーに「ここまではできたけれど、ここから先が難しいです」と現状を正直に伝えています。
それでも解決できなければ、今度はプロジェクトの枠を超えて、部のメンバーに知恵を貸してほしいと発信します。すると、部内の有識者が自分の案件ではないのにもかかわらず、自分のことのように一緒に頭を抱えて、解決まで付き合ってくれるんです。
── プロジェクトが違っても、部全体が技術的なセーフティーネットになっているんですね。
阿部:そこは部として明確に意識している部分です。大事なのは、気合や根性といった精神論で突破させないことです。
極端な話、どうしても要件やスケジュールが厳しいなら、無理をするのではなく「どうすればお客様に状況を正しく説明し、納得感のある着地点を見つけられるか」をチームで議論します。
過度な負荷でメンバーが疲弊してしまうことこそが、組織にとって避けるべき最大の損失だと考えているんです。
「NO」を突きつけるのではなく、代替案をチーム全員で練り上げる
── 顧客に対して、そこまで踏み込んだ提案ができるのはなぜでしょうか。「御用聞き」に留まらない関係性を築ける理由を教えてください。
阿部:顧客の要望をそのまま形にすることが、必ずしも正解ではないと考えているからです。
例えば、「AIを導入すれば魔法のようにすべて解決できる」と期待されているお客様がいて、最初から非常に壮大なシステムを構想されたとします。しかし、現実的には予算や技術的な制約で、そのまま進めることがリスクになる場合も多い。
そんな時は、あえてブレーキをかける提案をします。「優先順位の高いものからステップを踏みましょう」、「今の方法では実現できません」とはっきり伝えていくのです。
── プロとして「NO」を言うのは、勇気がいることではないですか?
阿部:もちろん、ただ否定するだけでは単なる衝突になってしまいます。だからこそ、お客様に伝える前に、部内で徹底的に議論を尽くします。なぜこの方法が最適なのかという論理的な根拠を、チーム全員で固めるんです。
その確固たる準備があるから、自信を持って代案を提示できる。納得してもらうための材料を、チームの知恵としてそろえにいく感覚です。
林(リン):私も同じ想いです。お客様の環境を深く理解した上で、技術的に何がベストかを考え抜く。その上で、現状の課題をこまめにすり合わせてゴールへの軌道修正を繰り返していくことが、結果的にお客様の利益に一番直結するんだと、この1年で強く実感するようになりましたね。
── 最後に、これから一緒に働きたい仲間について教えてください。
鄭(ジョン):私たちが担うのは「生成AI・データAI基盤」という新しい分野ですから、やっぱり未知の領域にチャレンジすることそのものを楽しめる人ですね。
技術の移り変わりが早いので、未経験のことに取り組む不安は誰にでもあります。でも、そこをチームの知恵を借りながら前向きに突破しようとする人なら、この環境を存分に活かせるはずです。
阿部:そうですね。あとは自分の持つ強みを、惜しみなく周囲に共有してくれる人がいいですね。それはAIの知識でも、マネジメントの工夫でも構いません。この分野は領域が広いので、多様なバックグラウンドを持つ人が集まるほど強くなります。
自分の得意なことで変化を起こしたい、組織をより良くしたいと考えている人と、これからのLakehouse部を一緒に作っていきたいですね。
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