Platform Engineering
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このページは、株式会社エーピーコミュニケーションズが
Platform Engineeringに関する情報を集めたページです。

Update:2024.02.26

本サイトについて

2022年から海外で急激に注目を集めた"プラットフォームエンジニアリング(Platform Engineering)"は、2022年6月に世界で初めてのカンファレンス「PlatformCon」がオンラインで開催され、初回にもかかわらず6,000人以上の参加者を集めるなど注目が高まっています。 日本国内でも2023年3月にクラウドネイティブイノベーターズ協会が「Platform Engineering Meetup」というコミュニティーを発足させ、3月9日より4回開催されたmeetupイベントには、累計1,900名以上が参加するなど盛り上がりを見せています。 さらに、11月14日にガートナーが発表した2024年に企業や組織にとって重要なインパクトを持つ10の「2024年の戦略的テクノロジのトップ・トレンド」の一つとしても取り上げられました。

当サイトでは、エンジニアだけでなく、ビジネスサイドの方々にも含め、広範な対象者が短時間で"プラットフォームエンジニアリング"について理解を深めることができるよう、関連情報をまとめました。

プラットフォーム・エンジニアリング(Platform Engineering)とは

まず、最初に"プラットフォームエンジニアリング"が注目を集めたのは、2022 年のガートナーによるハイプ・サイクルの発表でした。ガートナーによる定義は以下の通りです。

「プラットフォーム・エンジニアリング」とは、アプリケーションのデリバリとビジネス価値の創出を加速させるための、テクノロジに対する新しいアプローチです。
プラットフォーム・エンジニアリングは、インフラストラクチャ・オペレーションの自動化とセルフサービス機能により、開発者エクスペリエンスと生産性を向上させます。開発者エクスペリエンスを最適化し、プロダクト・チームによる顧客価値のデリバリを加速させることが期待できるため、大きく注目されています。

引用元:Gartner「プラットフォーム・エンジニアリングとは何か?」
https://www.gartner.co.jp/ja/articles/what-is-platform-engineering

プラットフォームエンジニアリングが提供する価値

現代の開発チームは、「業務側からの要求」「クラウドなど技術進化」「開発ツールの増大」などから、認知負荷が増え、開発作業に集中しづらい状況が増加しています。 この中でも継続開発における「インフラ作業」「DevOpsツールの利用」「情報やドキュメントの検索」などが開発チームやインフラチームの負担になることで組織の効率を下げる原因となっています。

このような認知負荷を削減し開発者の体験・開発者の効率を高め、スケール出来る組織を目指す概念が、「プラットフォームエンジニアリング」です。元は海外のTech企業がDevOps組織をスケールしていくために考案されました。

ノンコア業務をPlatformにてセルフサービス化、開発チームがコア業務に集中できる環境へ

統一されたUI(ユーザーインターフェース)となる開発者ポータルなどの開発者プラットフォームを導入し、ノンコア業務をセルフサービス化することにより、開発チームがコア業務に集中できる環境を作ると共に、技術や情報に対する敷居をさげます。その結果、開発者一人当たりの効率や立ち上がり速度を向上します。海外の事例では、成熟すると1人のプラットフォーム担当で100名の開発者をカバーできるとも言われています。

「プラットフォーム」の定義

定義が曖昧だったプラットフォームエンジニアリングですが、2023年4月にクラウドネイティブコンピューティング技術を推進する非営利団体CNCF(Cloud Native Computing Foundation)によってプラットフォームエンジニアリングについてのホワイトペーパーがリリースされました。こちらでは、クラウドネイティブコンピューティングにおけるプラットフォームを定義しています。確かに、開発の品質と速度の両立のためにはクラウドネイティブ技術が非常に重要になります。

一方で、2019年に出版されプラットフォームエンジニアリングの認知を拡大させた書籍「Team Topologies(日本では「チームトポロジー」として日本では2021年に翻訳書が発売)」の著者は、プラットフォームは開発者体験の向上・認知負荷を削減するための、法務やチーム運営など直接技術的に関係ない業務プロセスも含めた、セルフサービスで利用できるものとし、開発者体験向上や認知負荷を削減するより広い定義としています。

開発者の認知負荷低減を実現するには、技術だけでなく、業務プロセスまで踏み込んだプラットフォームが重要です。

内部開発者ポータル(Internal Developer Portal)

プラットフォームエンジニアリングを追いかけるように、2023年度ガートナーの先進テクノロジハイプサイクルに入り注目を集めています。プラットフォーム全体を指すIDP(Internal Developer Platform)と略語は同じく「IDP」と略されるため、注意が必要です。IDP(Portal)もIDP(Platform)の一部です。

アジャイル開発(DevOps)チームがプラットフォームエンジニアリングを推進していく際、開発者にとってのUX(ユーザーエクスペリエンス)すなわち「開発者体験」を高めることが重要です。これに欠かせないのが「内部開発者ポータル」です。これは膨大な各種DevOpsツールや組織内の情報を、開発チームが共通でストレスなく利用するための統合的なUI(ユーザーインターフェース)をwebポータルとして提供します。

webポータル上で提供されるコンテンツとしては、ボイラープレートやIaCなどの初期コード作成を低減するテンプレート、ドキュメント検索、AIチャット、DevOpsツールの情報サマリー、APIやライブラリ一覧、などさまざまですが、開発者が他部署への依頼することなくセルフサービスで提供することで、認知負荷の削減、開発者体験の向上を実現します。

「PowerPages」などローコードwebツールなどで簡易的に始めることもできますが、様々なDevOpsツールとの連携など拡張が求められるため、専用のソフトウェアやサービスが次々と誕生しています。代表的なものとしてSpotifyので開発・利用されOSSに寄贈された「Backstage」、ノーコードで利用できる「Port」など、片手では収まらない数が登場しています。特にBackstageは、3大クラウドのドキュメントでも紹介され、RedhatOpenShift、VMWareTanzuなどにも組み込まれるなど、デファクトスタンダードとして期待されています。

なお、ポータルを入れればプラットフォームエンジニアリングが実施できると考えるのはアンチパターンであると言われるため、小さくても開発者の認知負荷を削減できるIDP(Platform)とセットとなることが重要です。

Primary information

2023.12.4
「Gartner、「ソフトウェア・エンジニアリングのハイプ・サイクル:2023年」を発表-AIに関するプラクティスやプラットフォーム・エンジニアリングは、2~5年以内にソフトウェア・エンジニアリングにおける主流の採用に」ガートナージャパン
ガートナージャパン株式会社 (本社:東京都港区、以下Gartner) は、「ソフトウェア・エンジニアリングのハイプ・サイクル:2023年」において、AI拡張型ソフトウェア・エンジニアリング、AIコーディング・アシスタント、プラットフォーム・エンジニアリングなどの革新的なテクノロジが2~5年以内に企業での主流の採用になるとの見解を発表しました (グローバルでは2023年11月28日に発表しています)。
2023.11.28
「Gartner Hype Cycle Shows AI Practices and Platform Engineering Will Reach Mainstream Adoption in Software Engineering in Two to Five Years」Gartner, Inc.
Transformational technologies, including AI-augmented software engineering (AIASE), AI coding assistants and platform engineering, will reach mainstream adoption in 2-5 years, according to the Gartner, Inc. Hype Cycle for Software Engineering, 2023.
2023.11.14
「Gartner、2024年の戦略的テクノロジのトップ・トレンドを発表」ガートナージャパン
ガートナージャパン株式会社 (本社:東京都港区、以下Gartner) は、2024年に企業や組織にとって重要なインパクトを持つ10の「戦略的テクノロジのトップ・トレンド」を発表しました (グローバルでは2023年10月16日に発表しています)。
2023.10.16
「Gartner Identifies the Top 10 Strategic Technology Trends for 2024」Gartner, Inc.
Gartner, Inc. today announced its list of 10 top strategic technology trends that organizations need to explore in 2024. Analysts presented their findings during Gartner IT Symposium/Xpo, which is taking place here through Thursday.
2023.04
「CNCF Platforms White Paper」CNCF TAG(Cloud Native Computing Foundation Technical Advisory Group)
This paper intends to support enterprise leaders, enterprise architects and platform team leaders to advocate for, investigate and plan internal platforms for cloud computing. We believe platforms significantly impact enterprises' actual value streams, but only indirectly, so leadership consensus and support is vital to the long-term sustainability and success of platform teams. In this paper we'll enable that support by discussing what the value of platforms is, how to measure it, and how to implement platform teams that maximize it.
2023.01.15
「プラットフォーム・エンジニアリングとは何か?」ガートナージャパン
ガートナーによる2023年の戦略的テクノロジのトップ・トレンドのひとつ「プラットフォーム・エンジニアリング」。デリバリを拡張する「プラットフォーム・エンジニアリング」とは何か。開発者エクスペリエンスを最適化し、プロダクト・チームによる顧客価値のデリバリを加速させることが期待できるため、大きく注目されている「プラットフォーム・エンジニアリング」について解説します。
2022.08.16
「Gartner、「先進テクノロジのハイプ・サイクル:2022年」を発表」ガートナージャパン
Gartner は、「先進テクノロジのハイプ・サイクル:2022年」を発表しました。本ハイプ・サイクルで取り上げた注目すべき25の先進テクノロジは、「イマーシブ・エクスペリエンスの進化と拡大」「人工知能 (AI) 自動化の加速」「テクノロジストによるデリバリの最適化」の3つのテーマに分類できます。

Organization

Platform Engineering Meetup

Platform Engineering Meetupとは近年急速に注目を集めつつあるPlatform Engineeringについて、学んで、発信して、交流していくための勉強会です。

Platform Engineering Meetup

一般社団法人クラウドネイティブイノベーターズ協会

一般社団法人クラウドネイティブイノベーターズ協会は、日本におけるクラウドネイティブ技術の普及を推進するため、人材育成の支援と交流の場を提供するための団体です。

クラウドネイティブイノベーターズ協会

※株式会社エーピーコミュニケーションズは「一般社団法人クラウドネイティブイノベーターズ協会」に賛同・協力しています。

Community Column

専門人材不足でも開発生産性向上、プラットフォームエンジニアリングとは

 ITエンジニアの間で「プラットフォームエンジニアリング」が話題になっている。ガートナージャパンも2024年の10の技術トレンドの1つとしてプラットフォームエンジニアリングを取り上げており注目度は高い。プラットフォームエンジニアリングとは何か。第1回は登場の背景を解説する。

日経クロステック(xTECH)
考え方も変える、プラットフォームエンジニアリングの実践に必要なこと

 プラットフォームエンジニアリングを実践するにあたってはプラットフォームに対する捉え方、考え方を変える必要がある。「Platform as a Product」の考え方、具体的に開発者の認知負荷を削減する方法論について解説する。

日経クロステック(xTECH)
海外では一般事業会社もプラットフォームエンジニアリング、日本は外注モデルに課題

 プラットフォームエンジニアリングとは何かを解説する特集の第3回は、海外の事例、そして国内の事例を紹介し、日本ならではの普及を妨げる状況、今後の動向について解説する。

日経クロステック(xTECH)
Platform Engineeringとは何か? なぜ注目されているのか

 近年急速に注目を浴びている「Platform Engineering」。本連載ではPlatform Engineeringとは何か、そのメリットについて解説します。第1回は、Platform Engineeringとは何か、そして注目されている背景について紹介します。

CodeZine
Platform EngineeringはこれまでのSREやインフラチームと何が違うのか?

 近年急速に注目を浴びている「Platform Engineering」。本連載ではPlatform Engineeringとは何か、そのメリットについて解説します。第2回では、これまでのプラットフォームと何が異なるのか、および、インフラエンジニアやSRE(Site Reliability Engineer)などとの違いを解説します。

CodeZine
Platform Engineeringを実現する上で重要な組織論「チームトポロジー」とは?

 近年急速に注目を浴びている「Platform Engineering」。本連載ではPlatform Engineeringとは何か、そのメリットについて解説します。第3回から徐々にPlatform Engineeringを実現するためのより具体的な方法論に入っていきます。今回は組織論である「チームトポロジー」とPlatform Engineeringの関係を見ていきます。

CodeZine

Event

これから開催されるPlatform Engineering関連イベント

過去のPlatform Engineering関連イベント

Column

なぜエーピーコミュニケーションズはプラットフォームエンジニアリングを推奨するのか

「売り上げを上げるためのDX=攻めのDX」の推進が必要不可欠と言われる一方で、2030年には79万人のIT人材数が不足すると予測されています。

当社では、以下の価値を提供するプラットフォームエンジニアリングは、Tech企業のみならず攻めのDXを推進するユーザー企業にとっても、開発者の数と質の不足を補う強力な手段の一つになると考えています。

エーピーコミュニケーションズが考える、日本のDX推進においてプラットフォームエンジニアリングが提供する価値

  1. 不確実性への対応能力強化

    新事業創出のフェーズでは、コア業務に集中し、開発の品質と速度を両立。日本特有の環境における、ビジネスとエンジニアのコラボレーションの推進をすることができます。

  2. スムーズなリスキリング

    既存事業から新事業への転換にあたっては「ドキュメント」や「テンプレート」により、エンジニアの立ち上がり(オンボーディング)をスムーズにすることができます。

  3. 既存の業務効率向上

    既存事業では「自動化」を「セルフサービス化」にまで高め、人材効率を最大化することができます。

経済産業省「DXレポート2」P25を参考にエーピーコミュニケーションズが作図

これだけDXが語られ企業の内製化や共創という文脈が進んでは来ているものの、海外よりも厳しいIT人材不足や、SI業界の人材構造から考えた場合、日本独特の課題を解消していくことが重要です。

当社では、クラウドネイティブ技術・Team Topologies・プラットフォームエンジニアリングなどを活用した、技術/組織/プロセスにおける内製化や共創などでの開発生産性の向上をご支援しております。

今後も、プラットフォームエンジニアリングやAIを活用したサービスをご提供することで、これらのメリットをユーザ企業の皆様がスムーズに手の内化して頂けるよう、引き続き企業のDX開発を支援してまいります。

プラットフォームエンジニアリングに関する考察ブログ記事

エーピーコミュニケーションズ取締役、上林による「プラットフォームエンジニアリングとは何か?」という記事の三部作

プラットフォームエンジニアリング(Platform Engineering)とは? 解説と考察

2023.01.18

「プラットフォームエンジニアリング」は2022年度、ガートナーの3つのハイプサイクルの黎明期に現れ、5年以内に80%のソフトウェアエンジニアリング組織が使うことになるといわれている概念です。 本記事は、今注目されつつあるその概念について理解しやすい記事を目指しつつ、「DevOps」を推進したい方々に向けて、最後に少しだけ考察を行っています。...

なぜDevOpsの発展にプラットフォームエンジニアリングが必要になるのか?

2023.03.09

前回注目されている背景として、さらっと「アジャイルやDevOpsの組織的な推進」と書きましたが、今回はその点を確認していきます。 歴史的な背景をもう少し深堀しながら、紐解いていきたいと考えています。...

「DevOpsは死んだ?」はメーカーのポジショントークか?

2023.06.01

プラットフォームエンジニアリングに関して、海外での動向について少しお話をさせて頂ければと思います。掲題の「DevOpsは死んだ?」や「Googleは私たちに嘘をついた」など、過激なことが言われている側面も取り上げます。 まずは世界の動向ということで、少し私なりの解釈でプラットフォームエンジニアリングに関連するここ数年の歴史を見ていきたいと思います。...

上林 太洋 Takahiro Kamibayashi

株式会社エーピーコミュニケーションズ 取締役 兼 ACS事業部長

日本CTO協会 個人会員

InnerSourceCommons 個人会員

About us

エーピーコミュニケーションズについて

株式会社エーピーコミュニケーションズは、クラウド・ネットワークセキュリティを得意とし、新たなSIモデルを提供するNeoSIerです。
従来型のSIの提供はもちろん「攻めのIT投資を推進する内製化支援やPlatformEngineering」「守りのIT投資を支援する自動化サービス」「攻めと守りを繋ぐデータ&AI基盤サービス」など、お客様の経営課題を解決する新たなモデルと技術の提供に常にチャレンジしています。

www.ap-com.co.jp

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