2026/01/26
ACS事業部リーダーインタビュー Vol.3:本東地 英士 ―SAT室 室長
エーピーコミュニケーションズ(APC)の社内新規事業部署である、ACS事業部では
プライム案件を前提とする戦略を立て、攻めのDXと言われる不確実性の高いアジャイル/DevOpsの領域において活動しています。
技術メソドロジーとしては、Azureを中心としたクラウドネイティブ/Platform Engineering/IaC/AI駆動開発/LLMなどの領域で、主にエンタープライズ企業を中心に支援を行っています。
「Dev」と「Ops」の間にそびえ立つ壁を壊し、顧客が自走できる未来を創る。
SAT(Stream Aligned Team)室は、エンジニアリングの力で顧客の最前線に立ち、内製化を支援するACS事業部内の実働部隊です。
「スーパーヒーローはいらない」 ―― 特別な誰かの力に頼るのではなく、仕組みと文化で組織を変革する。 現場のリアリティと向き合い、正解のない問いに挑む面白さが、ここにはあります。チームを率いる本東地英士に、チームのミッションや業務内容、本東地自身の想いなどを語ってもらいました。
本東地 英士 (ほんどうち えいじ)
ACS事業部 SAT室 室長
ITエンジニア歴約20年。PCのキッティングやサーバーセッティングなどの業務からキャリアをスタートし、ネットワーク/インフラエンジニアとして経験を積む。2015年にAPCに入社。サービスマネジメント、クラウド設計・構築を経て、SRE/DevOps領域へ。現在はSAT(Stream Aligned Team)室の室長として、顧客への直接的な技術支援を行うチームを率いている。
「DevとOpsの壁」を仕組みで溶かす。
顧客の“文化”まで変える、内製化支援のやりがい
ミッション:顧客組織の「内製化」を、文化から変える
――SAT室は、どのようなチームなのでしょうか?
本東地: ACS事業部は、Team Topologiesという組織設計の考え方をベースにチームが設計されています。その中で提唱されている「SAT(Stream Aligned Team)」は「顧客への価値を直接届けるための活動をするチーム」を指します。
「クラウドネイティブ内製化支援サービス」や開発者ポータル「PlaTT(プラット)シリーズ」を提供しているACS事業部においては、SIや伴走支援などを通して直接顧客と対話しながら「内製化」する支援をすることがミッションになります。
単にシステムを作って終わりではなく、顧客自身が開発・運用を回していけるよう、「開発組織の生産性向上」のため、現場目線での課題から顧客と対話しながら一緒に取り組んでいきます。
――本東地さんの、このミッションに対する思いをお聞かせください。
本東地: 私自身、過去のプロジェクトで「開発(Dev)」と「運用(Ops)」の間に深い溝がある現場を経験してきました。 設計と運用が分離していて、お互いに責任をなすりつけ合うような状況や、組織の壁に阻まれて改善が進まないもどかしさを感じていました 。
実は、現場のメンバー一人ひとりと話すと、誰もその状況を良しとはしていないんです。「このままではダメだ」と分かっているけれど、どう最初の一歩を踏み出せばいいか分からず、誰も動けなくなっている 。
「こうあるべき(To Be)」という理想は世の中に溢れていますが、実際の現場(As Is)とのギャップは大きく、どこから手をつけていいか分からないという現場は非常に多いです 。
これを変えるのに、強力なパワーを持ったスーパーヒーローは必要ありません。 誰か一人が強引に進めるのではなく、チームの一人ひとりが意識を変え、少しずつアクションを起こせるような「きっかけ」と「仕組み」を作ること。それがあれば、特別な権力がなくても組織は変わり始めます。私たちはその「最初の一歩」を支援したいと考えています 。
――なぜ、APCにはそれができる(強みがある)のでしょうか?
本東地: 私たち自身が、学習し、変わり続けてきた経験があるからです 。 そして、自分たちの組織を変革してきた実績に加え、多くのクライアントの課題に向き合ってきました。複数の組織を見てきたからこそ、「ここは共通の課題だ」「このパターンなら解決できる」という成功の法則(勝ちパターン)を持っています 。
お客様ごとにゼロから手探りで考えるのではなく、私たちが蓄積してきた「成功のエッセンス」を提供し、それを顧客の文脈に合わせて適用する。 自分たちの経験を汎用化し、他のお客様にも展開できる「型」として持っていることが、私たちの最大の強みだと考えています 。
業務内容と技術スタック:最先端技術で「正解」のない領域を切り拓く
――具体的な業務内容と技術スタックについて教えてください。
本東地: SAT室は現在、総勢16名のメンバーが在籍しており、専門領域の異なる2つのチームで構成されています 。
PE推進チーム(Platform Engineering)
これまで培ってきたクラウドやインフラの構築知見を活かし、顧客における従来からのインフラ担当のチームやPlatformチーム(Ops)を支援するチームです 。単なるインフラ構築にとどまらず、おなじひとつのプロダクトを開発するという「ワンチーム」の目線で開発者に寄り添った「プラットフォームエンジニアリング」の導入まで踏み込み、顧客の内製化を支援します 。現在は9名が所属しています 。
技術スタックは、パブリッククラウド(Microsoft Azure等)、コンテナ(Azure Kubernetes Service, Azure Container Apps等)、CI/CD(Github Actions, ArgoCD等)、IaC(Terraform)をはじめとした、SRE/DevOps関連技術およびPlatform Engineeringの考え方です。

AIアプリ推進チーム
こちらは顧客の開発者(Dev)サイドの課題を中心に支援するチームです 。 アプリケーション開発とデータ・AI技術を統合し、「AI駆動開発(開発プロセスへのAI導入)」や「AIアーキテクチャ(アプリへのAI機能組み込み)」の両面から、次世代の開発スタイルを支援します 。
こちらの技術スタックは、AI駆動開発(Github Copilot等)、Web開発(React.js, Typescript, Python,スクラム開発等)、AI基盤(MS Foundry Azure Open AI)、AIエージェント関連技術(MCP,RAG, Langchain/LangGraph, Langfuse等)などになります 。

――顧客にはどのようにサービスを提供するのですか?
本東地: 顧客の課題に合わせて、柔軟にチームを組成します 。 DevOps基盤の構築や運用などの課題が中心ならPE推進チーム、アプリ開発におけるAI導入やプロセス改善などが課題ならAI App推進AIチームが入りますが、両方の課題解決が必要な場合は、2つのチームを組み合わせて最適な布陣で支援することもあります 。
また、アサインに関しては「一人チーム」を作らないようにしています。特定の顧客に一人で張り付くと、どうしても業務が属人化してしまいます 。たとえ小規模な案件であっても、必ず複数名でバックアップし合う体制をとっています 。 「困った時に誰にも相談できない」という状況は絶対に作りません 。チームで動くからこそ、有事の際のフォローも可能ですし、キャリアに合わせたプロジェクト異動もスムーズに行えます 。
――仕事の進め方で、特徴的な取り組みはありますか?
本東地: エンジニアの稼働を「案件80%:組織活動20%」にする方針を掲げています 。 100%案件に没頭するのではなく、週5日のうち1日は顧客支援をお休みし、自分たちの技術力向上のための検証や、ノウハウの言語化(ブログ執筆、登壇資料作成)、トレーニングコンテンツの作成などに充てる時間を確保しています 。 案件で得た知見を組織のノウハウとして蓄積し、それをまた次の案件や外部へのアウトプットに繋げるサイクルを作ろうとしています 。
チーム運営:多様なバックグラウンドを「対話」でつなぐ
――どのようなバックグラウンドを持つメンバーが多いですか?
本東地: 本当に多種多様ですね 。 PE推進チームには、クラウド構築経験者もいれば、オンプレミスの経験を持つ人もいます 。AIアプリ推進チームも、AI導入からアプリ開発、それを支えるインフラまでカバー範囲が広いため、それぞれ異なる強みを持ったメンバーが集まっています 。 異なるバックグラウンドを持つ個人の力を集結し、チームとしての大きな力に変えていく。それがSAT室のスタイルです 。
――これだけ多様なバックグラウンドのメンバーをマネジメントするのは大変そうですが、マネジメントにおいて大切にしている価値観はありますか?
本東地: リモートワークが中心のため、意識的なコミュニケーション設計を重視しています。 特に大切にしているのは「Disagree and Commit(意見は戦わせるが、決まったら協力する)」という考え方です 。全員の意見が完全に一致することは稀ですが、対話を通じて納得感を醸成し、チームとして同じ方向に進むことを意識しています。
――チームの雰囲気作りで工夫していることは?
本東地: 心理的安全性を高めるための「グランドルール」を設けています。 例えば、「人の話を遮らない」ことや、相槌を打つ際は「まずは肯定から入る(受け止める)」こと 。 「あ、そうじゃなくて」と否定から入るのではなく、「そういう考えもあるね」と一度受け止める。これだけで対話の流れは劇的に良くなります。
成長環境:エンジニアの未来を一緒に描く
――キャリア支援についてはどのような仕組みがありますか?
本東地: キャリアパスとしては、技術を極める「テックリード」、プロジェクトを推進する「PM」、そして顧客課題に深く切り込む「コンサルタント」という3つの方向性があります 。
メンバーの成長を支える仕組みとして特徴的なのは、「2段階の1on1」です。 直属のリーダーとは日々の業務や案件の相談を、そして室長である私とは中長期的なキャリアの相談をする、という形で月2回の面談機会を設けています。目の前の業務に追われてキャリアの話が後回しにならないよう、意図的に時間を分けています。
また、インプットとアウトプットの両面を推奨しており、ブログ執筆や登壇はもちろん、海外カンファレンスへの参加に対する金銭的な支援も行っています。最先端の情報を現地で浴びて、それを持ち帰ってもらうことを推奨しています。
▼参考記事
今後の挑戦:「クラウドネイティブ」を体現する組織へ
――このチームで特に成長し、活躍しているメンバーに共通点はありますか?
本東地: 「お願いされたこと」だけでなく、「自分がやりたいこと」を声に出せる人ですね。 たとえ現状のルールや方針があったとしても、「こっちのやり方の方が顧客にとって価値がある」と思えば、臆せずに提案してくれるメンバーが伸びています。
実際、あるプロジェクトで「これまではこう対応してきた」という定石があったのですが、メンバーが「自分はこうやりたい、その方が価値が出る」と提案してくれて、方針を変えたことがありました。結果的にその方がうまくいったんです。 「ダメ元でもいいから言ってみる」というスタンスを持ち、叩かれても(笑)提案し続けるような気概のある人が、ここでは活躍しています。
今後の挑戦:AI活用で、生産性を「2倍」にする
――今後、チームとして挑戦していきたいテーマはありますか?
本東地: 最大のテーマは「AI活用」です。 AIアプリ推進チームがあるように、私たちはAIを掲げている組織でもあります。だからこそ、メンバー全員がAIを徹底的に活用し、現在の業務効率を「2倍」にすることを目標に掲げたいと考えています 。
――具体的に、現場ではどのくらいAIが浸透しているのでしょうか?
本東地: 「使ったことがない」というメンバーはいません 。 ドキュメント作成の叩き台を作るといった用途では全員が当たり前のように使っていますし 、コーディング業務でもGitHub Copilotなどの活用が進んでいます 。
しかし、私たちはそこで満足するつもりはありません。 今後は、より上流工程である「設計業務」や、品質を担保する「テストコードの作成」など、これまで人間が頭を悩ませていた領域までAIを適用していきたい 。
「我々のエンジニアリング業務を、どこまでAIで代替・効率化できるか」。その限界に挑むことが、これからの大きなテーマになってくると考えています 。
求める人物像:「好き」をエネルギーに変えられる人
――どのような人と一緒に働きたいですか?
本東地: プライベートでも何か「ハマっていること」がある人は魅力的ですね 。 技術に限らず、趣味でもボランティアでも構いません。自分が好きな領域に対して独自の哲学を持ち、コミュニティを作ったり深く掘り下げたりしている人は、その考え方を業務にも応用できることが多いです 。
逆に、「言われたことだけやればいい」というスタンスの方はフィットしにくいかもしれません 。 私たちの領域(AIやDevOps)には、まだ絶対的な正解がありません。
不確実な状況を楽しみ、「自分はこうしたい」という意志を持って、仮説と検証を繰り返せる方に来ていただきたいです 。
メッセージ:正解のない「荒野」を、共に進もう
――最後に、応募を検討されている方へメッセージをお願いします。
本東地: 今、私たちは生成AIの進化やDevOpsの普及により、エンジニアリングの大きな転換点にいます。 まだ誰も正解を知らない「未知の領域」だからこそ、誰よりも先に「自分たちの正解」を作っていく面白さがあります 。
与えられたレールを走るのではなく、自ら道を切り拓いていきたい。そんな熱意を持った方と、一緒に挑戦できることを楽しみにしています。
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