2025/12/23
【インフラエンジニアへの道 キャリア相談Q&A】#9|就活生が知っておくべきITインフラの基本と業界のリアル
未経験からITインフラ業界への就職・転職を考えているものの、キャリアアップや年収、働き方など、多くの疑問や不安を抱えているのではないでしょうか?
【インフラエンジニアへの道 キャリア相談Q&A】では、ITインフラ業界のリアルな情報をお届けします。アドバイスするのは、エンジニア歴23年の副社長・永江と、IT業界で10年以上の採用経験を持つ人事責任者・小山です。
今回は、IT社会の土台を支える「ITインフラ」がテーマです。
「名前は聞いたことがあるけれど、具体的にどんな仕事なの?」そんな疑問を解消すべく、エンジニア歴23年の副社長・永江と、IT業界で10年以上の採用経験を持つ人事責任者・小山が、ITインフラの基本を分かりやすく解説します。
業界全体のトレンドから、インフラ特化型SIerとして独自の進化を続けるAPCの強み、さらには「クライアントワークは成長しづらい」という巷の噂に対する現場のリアルな本音まで。専門知識がなくても大丈夫。「ITインフラって面白そう」と感じるきっかけになるようなエピソードをお届けします。
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永江 耕治(ナガエ コウジ)
取締役副社長
Webエンジニアとしてキャリアをスタートさせ、2002年にエーピーコミュニケーションズに入社。SIベンダーでプリセールスから設計・構築までを行うプロジェクトにエンジニアとして参画しながらマネジメントも兼務。その後、人事部門に異動。業務と並行して、MBA(2012年卒。中央大学大学院/人的資源管理専攻)を取得。2016年にITインフラ部門へ戻り、部下250名を抱える事業部責任者を務める。2018年に取締役副社長に就任。
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小山 清和 (コヤマ キヨカズ)
コーポレート部門 戦略人事本部 Talent Acquisition部 部長
飲食業界からキャリアをスタートさせ、その後、人材ビジネスに携わり、採用業務経験を積む。2016年10月にグッドパッチに転職し、キャリア採用をメインに、現場と連携した強固な採用体制の構築、採用数の確保、離職率の改善、認知度向上などに向けた施策などを推進。2023年11月にエーピーコミュニケーションズに入社し、2024年1月からTalent Acquisition部の部長として全社の採用戦略を担う。趣味は週6日のランニング。副業ではプロコーチとしても活動中。
【配信中メディア】Podcastにて『インフラエンジニアのホントのところ』
<目次>
⬛️ そもそも「ITインフラ」とは?私たちの生活にどう関わっているの?
⬛️ インフラエンジニアって、具体的に何をするの?
⬛️ クライアントワークは、成長できないって本当?
⬛️ インフラ特化のSIer、APCってどんな会社?
⬛️ そもそも「ITインフラ」とは?私たちの生活にどう関わっているの?
永江:ITインフラとは、インターネットやITサービスの土台となる設備のことです。家を建てる時の「基礎工事」や、生活に欠かせない「水道・電気・ガス」に例えると分かりやすいと思います。
皆さんが普段使っているスマートフォンやPCでアプリが動いているのは、その裏側にサーバーやネットワークといった「ITインフラ」が存在し、正常に稼働しているからです。
このITインフラがなくなったり停止したりすると、どうなるか?
例えば、電車に乗ろうとしても交通系ICカードが使えなくなり、改札に長蛇の列ができるでしょう。キャッシュレス決済も止まり、現金を持っていなければ買い物もできません。オンラインショッピングやSNSでの連絡はもちろん、銀行のシステムや物流も止まってしまいます。
ITインフラは現代社会において、「空気」のように当たり前に存在していますが、ひとたび止まれば経済活動や日常生活が麻痺してしまうほど重要なものなのです。
小山:私からは、ITインフラは「イノベーションの土台」でもあるとお伝えしたいです。
近年、DXやAIという言葉をよく耳にすると思いますが、これらを実現するためにも、頑丈で柔軟なITインフラが欠かせません。かつては「縁の下の力持ち」として地味な印象を持たれがちでしたが、サービスがリッチになり、社会への影響度が増すにつれて、ITインフラの重要性はますます高まっているのです。
インフラエンジニアは、デジタル社会を守り、そして進化させる職業と言えるのではないでしょうか。
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⬛️ インフラエンジニアって、具体的に何をするの?
永江:インフラエンジニアの仕事は、扱う「技術領域」と「工程」によって大きく分類されます。
まず「技術領域」ですが、大きく「ネットワーク」「サーバー」、そしてその両方に関わる「セキュリティ」に分けられます。最近では、物理的な機器を扱う「オンプレミス」環境だけでなく、インターネット上の仮想サーバーなどを利用する「クラウド」の領域が主流になりつつあります。AWSやAzureなどのサービスです。
次に仕事の「工程」ですが、ざっくり分けると以下のように分けられます。
【1】設計
お客様がどんなシステムを望んでいるかをヒアリングし、要件を定義して設計図を書くフェーズです。ここで求められるのは、技術力だけではありません。お客様の要望を汲み取るコミュニケーション能力も非常に重要です。
【2】構築
設計図をもとに、実際に機器を設定したり、クラウド上でサーバーを組み立てたりするフェーズです。
【3】運用・保守・監視
完成したシステムが止まらないように見守り(監視)、トラブルがあれば対応し(保守)、より良く改善していく(運用)フェーズです。
インフラエンジニアの「働き方」でいうと、以前はサーバールームで物理的な配線を行う作業も多かったのですが、今はクラウド上でインフラを構築・管理することが主流になり、エンジニアもリモートワークなど、柔軟な働き方が可能になりました。技術の進化と共にワークスタイルも柔軟になってきています。
小山:採用の視点から補足すると、最近はこれらの領域を横断的に扱えるエンジニアのニーズが高まっています。
例えば「SRE(Site Reliability Engineer)」という職種は、開発と運用の壁を取り払い、サイトの信頼性を高めるためにコードを書いて自動化などを推し進める役割です。
技術の進化に合わせて、常に新しい技術をキャッチアップし続ける必要がありますが、その分飽きのこない、刺激的な仕事だと言えます。
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⬛️ クライアントワークは、成長できないって本当?
永江:確かに「クライアントワーク(客先常駐)は成長できない」「単なる下請けだ」というネガティブな声を聞くこともあります。
しかし、私たちはそうは考えていません。むしろ、多様な環境に身を置けるクライアントワークこそ、エンジニアとしての「再現性」のあるスキルを身につける絶好の場だと捉えています。
自社サービスのみだと特定の技術や環境に固定されがちですが、クライアントワークでは様々な企業のプロジェクトに関わることで、異なる技術スタック、組織文化、課題解決のアプローチを経験できます。「どんな環境でも成果を出せる」という強固な実力は、こうした変化の中でこそ磨かれます。
小山:APCには全くの異業種から未経験で入社し、クライアントワークを通じて大きく成長した社員がたくさんいます。
例えば、元ピザ屋の店長から未経験で入社し、最初は監視・運用の現場からスタートして、今ではグループマネージャーとして活躍している社員もいます。彼は、現場での障害対応などを通じて「技術力だけでなく、問題を解決する力」を身につけ、お客様からの信頼を勝ち取っていきました。
彼が意識しているのは、新しい知識を単に「経験した」で終わらせず、次の現場では意識して使ってみることだそうです。そうやって異なる現場を経験したメンバーが集まると、「前の現場ではこんな手法をとっていたよ」「それ、こっちの課題でも使えるね」といった化学反応が起きると言っていました。個々の現場で得た知見を持ち寄り、エンジニア同士で高め合っていく。こうした「集合知」を活用できる環境こそが、多様な現場を経験するクライアントワークの醍醐味だと、語ってくれました。
クライアントワークを、「プロになれる最高の環境」として捉え、前向きにチャレンジできる方にとって、APCは非常に面白いフィールドになるのではないでしょうか。
⬛️ インフラ特化のSIer、APCってどんな会社?
永江:APCは、事業の8~9割をITインフラに特化しているSIer企業です。
従業員約500名の規模で、ITインフラに特化しているSIerというのは、業界でもかなり珍しい存在だと思います。一般的なSIerはアプリ開発を主軸とし、インフラを「付随するもの」として扱うことが多いのですが、私たちは創業以来約30年、ネットワークの保守・運用からスタートし、インフラ一筋に技術を磨いてきました。
APCの強みは、この長い歴史で培った「物理的なネットワークの深い知見」と、最新の「ソフトウェア技術」を掛け合わせている点です。例えば、「ネットワークの自動化」という分野では、日本でもトップクラスの実績と技術力を持っています。ネットワークはサーバーに比べて自動化が難しい領域なのですが、私たちは現場の知識とプログラミングスキルの両方を持っているため、高度な自動化を実現できるのです。
また、最近ではAI活用に不可欠な「データAI基盤」の構築支援や、クラウドネイティブ技術にも注力しており、時代の最先端技術でお客様の課題を解決しています。
小山:APCのもう一つの特徴は、「エンジニアを熱狂させる」という文化です。技術書を執筆したり、外部のカンファレンスで登壇したりする社員が多く、技術を楽しむ文化が根付いています。
最近では、業界を盛り上げるために「ネットワーク機器のカプセルトイ」を企画・監修し、40万個以上出荷する大ヒットとなりました。若手もベテランも関係なく、「ITインフラ業界全体を盛り上げたい」「エンジニアが楽しめることをしたい」という純粋な想いで動けるのがAPCの良さです。
SIerというと「堅い」「下請け」というイメージがあるかもしれませんが、私たちは自ら企画し、発信し、技術を楽しむ集団でありたいと考えています。
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今回の【インフラエンジニアへの道 キャリア相談Q&A】では、「就活生が知っておくべきITインフラの基本」に関する疑問に、お答えしてきました。
本記事が、自分自身に合ったキャリアパスを見つけるヒントになれば嬉しいです。
また、皆さんからの質問も随時受け付けています。悩みや疑問、気になることがあれば、ぜひお気軽にお寄せください。
引き続き、エンジニア歴23年の副社長・永江と、IT業界で10年以上の採用経験を持つ人事責任者・小山がアドバイスしていきます!
【質問フォームはこちら】
※この記事は、Podcast『インフラエンジニアのホントのところ』の内容をもとに再構成しています。
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