SERVICE遠鉄システムサービス株式会社 様

技術力Upと組織風土の変革、
この両輪が攻めのDX成功のカギ 遠鉄システムサービス株式会社 様

遠鉄システムサービス株式会社

企画開発部
部長 山内 大輔 様
次長 稲垣 智洋 様

企画開発部 デジタル技術課
大庭 俊 様
茂木 清嗣 様
福家 達也 様

今回は、遠鉄システムサービス株式会社の企画開発部の山内様、稲垣様、大庭様、茂木様、福家様から、『クラウドネイティブ内製化支援サービス for Microsoft Azure』をご活用いただいた背景や感想などをお伺いしました。

― 遠鉄システムサービス株式会社様と企画開発部デジタル技術課様の業務概要をお聞かせください

 山内:当社は1984年に、遠州鉄道グループの給与計算や受託計算部門として設立されました。グループ内でのOA機器販売や、百貨店、旅行会社のシステム構築などを担い、その後は民間企業や学校、自治体向けにもOA機器販売を広げて参りました。
しかし、昨今のDX(デジタルトランスフォーメーション)の流れにより、グループ内からも社外のお客様からもITを活用してビジネスを変革するためのシステム導入や、そのためのコンサルティングを必要とされるようになりました。そこでわたしたちもビジネスモデルを「モノ売り」から「コト売り」にシフトする必要があると考えました。

稲垣:当社には「コト売り」にシフトするために必要なウェブ開発やクラウド技術のスキルが不足していたため、2021年の4月からデジタル技術推進プロジェクトを発足し、「デジタル技術課」ができました。ウェブ開発に関しては遠鉄グループのソフトウェア開発会社として「遠鉄ベトナム」を設立しました。しかし、クラウドなどの新しい技術習得は「デジタル技術課」が既存業務との兼務ということもあり、時間的な制約から思うように進まず、ソフトウェア開発部隊(遠鉄ベトナム)との連携も手探りという状態でした。
このような状況の中で社内の力のみでは課題を解決できないと感じ、外部の力を借りることにしました。

「中長期的に組織風土を変革する」へと変わった意識

山内:当初は「オンプレシステムのクラウド移行」や、「クラウドを使ったシステム構築」といった単発的な視点でRFPを出していたので、頂く提案も「こんな技術を使ってこんな方法で実現できます」といった内容でした。しかし、エーピーコミュニケーションズ(以下、APC)さんからは「技術力を高めるには、中長期的な視点を持って計画的に取り組まないと、付け焼き刃で終わってしまう。人材をどう育成していくのか、チームや組織の体制をどう作っていくのかまで考えて取り組まなければうまくいきません」と言われました。これが心に刺さり、感銘を受けてコンサルティングをお願いしようと決めました。

稲垣:クラウドへシフトしていけばシステム開発手法もウォーターフォールからアジャイルにシフトしていきます。そうなると、システムづくりを依頼する側もそれを請けて作る側も、マインドセットを変えていく必要があります。この「やり方とマインドセット」を当社の中でどう変えていけるか、という課題があったので、APCさんの「クラウドの活用を前提とした組織風土の改革」にまで言及したご提案は印象的でした。APCさんであれば私達のグループの新たな取り組みに伴走いただき、 一緒に組織風土を変革できるのではないか、と感じました。

大きな課題に取り組むには道標が必要

― 今回は大まかに分けて2つのご支援をさせていただきました。

● プログラムマネジメントの手法を用いた、課題・ベネフィット・目指すべき方向性(ゴール)を整理する「プログラム憲章」の作成
● 模擬プロジェクトによるアジャイル開発・クラウドネイティブ開発体験

  1つ目の「プログラム憲章の作成」についてはいかがでしたか?

稲垣:APCさんが最初に原案を作成してくれましたが、あまりにも内容が濃くて正直なところ「ここまでやる必要があるのかな」というのが第一印象でした。しかし、これがあることで私達が抱えている課題の深さや広さ、全体感が把握でき、そもそもの目的に立ち戻ることができました。

茂木:プログラム憲章を作っていく過程で新たな気付きを得て、「これも課題だった」と発見したことがいくつもありました。正解のないことに取り組む中で、悩んだり迷ったりしたときにこのプログラム憲章が立ち戻る場所になっていたのは有効でした。

実践だからこそ得られたチームの成功体験

― 次に「アジャイル開発・クラウドネイティブ開発体験」についてですが、模擬プロジェクトではどのような開発をされたのでしょうか?

茂木:今後にも活かせそうな題材を考え、クラウドとの親和性の高いプロダクトを企画し取り組みを行うこととしました。

― プロジェクトチームは何人で組まれたのでしょうか?

茂木:チームは4名で、私以外はアプリケーション開発の未経験者でした。今回の模擬プロジェクトでは既存のスキルや経験とは異なる役割を担って取り組むことにしたので、実際に手を動かして開発するのは未経験のメンバーが行い、私もプロダクトオーナーを始めて経験しました。

― 既存の業務と並行して、慣れない役割で模擬プロジェクトを進めるのは大変だと思うのですが、時間の確保はどのようにされたのでしょうか?

茂木:しっかり時間を確保できたかというと、そうはいかなくて……もうちょっとしっかり時間を取って取り組みたかったというのが正直なところです。ただ、この営みの重要性をメンバー全員で共有して、「時間が取れたらやる」ではなく「主業務として取り組む」という姿勢で臨みました。毎日必ずデイリースクラムを行い、全員で進捗や問題の共有を行うようにしていました。

― 模擬プロジェクトを通して、初めてアジャイル開発やクラウドネイティブ開発を体験されたご感想をお聞かせください

大庭:限られた時間の中での取り組みで大変でしたが、コアな部分の開発は完成させることができ、メンバー個々の経験値は確実に上がりました。そして、やったことがないことをチームで乗り越えられたことはチームとしての大きな成功体験に繋がりました。
私はスクラムマスターを担当したのですが、アジャイル開発については本やネットで情報収集していたものの、あまりピンと来ていませんでした。今回の取り組みを通じて、アジャイル開発はメンバー全員でコミュニケーションを常に取りながら取り組む、マネジメントの部分もとても大事だということをやりながら理解しました。この気付きをもとに、チームビルディングのためのワークを行いました。メンバーそれぞれの得意なことや価値観などを共有するというものなのですが、相互理解が進んだことで仕事の進みも良くなりました。
このマインドの変化はこのチームだけに留めず、会社全体に伝播していかなければいけないと感じています。

福家:私はコーディング経験が全く無い状態でアプリ開発を担当したため、はじめの頃は「ちょっと厳しいかな」と思ったこともありました。でも、新しいことへのチャレンジや、新しい技術の習得に楽しみを見いだす性分と、APCさんの手厚いサポートにより、安心して積極的に進めることができました。徐々にコーディングにたいする抵抗感も薄れていき、「こんなことをやってみたい」と思ったことを自分で調べて手を動かせるようになったのは、すごい成長なんじゃないかと感じています。
APCさんは本当にMicrosoft Azureに詳しくて、技術的なことだけではなく、ビジネスへの落とし込み方などもアドバイスを頂きました。我々の疑問に対しても、すぐに答えをくれるのではなく、自分たちで正解にたどり着けるように少しずつヒントを出してくださり、私達が「自分たちで出来るようになる」ということをすごく尊重してくれていた印象です

マインドや組織の変革は技術力を向上させることと同じくらい重要

― 今後の展望についてお聞かせください

山内:この3ヶ月を通して、マインドや組織の変革は技術力を向上させることと同じくらい重要で、この2つを両輪として磨いていかなければ長期的な成長はなし得ず、目指すゴールにもたどり着けない、ということを知れたのは大きな収穫でした。
そして、「プログラム憲章」の作成や、アジャイル開発・クラウドネイティブ開発体験などを通して、自分たちで手を動かして色々考え、苦労したことによって、ようやく我々が目指す山の高さや全体像、その難易度が見えるようになりました。この景色は何も試さなければ見えなかったものです。最初から成功を目指さずに、一つ一つ取り組んでいくしかないということですね。まだ先は長いですが、これからもAPCさんにお付き合いいただいて、明確にしたCan Be、To Beに向けて取り組みを続けて行きます。

― 貴重なお話をありがとうございました。

遠鉄システムサービス株式会社

遠鉄システムサービス株式会社

静岡県西部地域で、地域の暮らしに貢献するさまざま事業を展開する遠鉄グループの1事業会社として、グループのICT部門を担い、ビジネスの戦略立案からシステムやネットワークの構築、ICT関連機器の導入、サポートまでの全サービスをグループだけなく、地域の自治体や企業に提供しています。
https://www.ess.co.jp/

クラウドネイティブ内製化支援サービス for Microsoft Azure