CASE株式会社アット東京 様

目指すは革新的なデータセンターサービスの提供。
閉域環境での「MCPサーバー × Microsoft Foundry」構築の壁を乗り越え、
本番レベルのAIエージェント開発基盤を確立 株式会社アット東京 様

国内データセンター業界のリーディングカンパニーである株式会社アット東京(以下、アット東京)は、従来のデータセンターの域を超え、柔軟な接続性を誇るサービス相互提供のプラットフォームとして、さらに、国内外のデータセンター間連携ネットワークを実現するグローバルハブとして、顧客の新たなビジネス創出を支援しています。その一環として、生成AIやAIエージェントを活用した社内外への革新的なサービスの展開を目指しており、閉域接続されたMicrosoft Azure(以下、Azure)環境上にてMicrosoft Foundry(旧Azure AI Foundry)とMCPサーバーを活用したAIエージェント開発環境の整備を行っています。この取り組みを主導した同社 AI戦略本部 デジタル統括部 次世代サービス開発グループのマネージャーを務める押尾様とメンバーの小栗様、三澤様から、従前に抱えていた課題と、その解決に向けて導入した、エーピーコミュニケーションズ(以下、APC)の実践トレーニングおよび環境構築支援サービスによって得られた効果についてお話を伺いました。

Point

  • AIエージェント開発の最新ノウハウ獲得と、体系的な実践トレーニングにより技術的ギャップを解消
  • Azure Functionsを活用したRemote MCPのサーバレス実装と、Entra ID認証を組み合わせたエンタープライズ向けセキュア・スケーラブル開発基盤構築の実現
  • 短期間での本番稼働レベルMVP実装と、IaC(Bicep)による自立的な拡張・運用(内製化)の土台確立

株式会社アット東京

株式会社アット東京
AI戦略本部 デジタル統括部 次世代サービス開発グループ
マネージャー 押尾様
小栗様、三澤様

データセンターに関連した新たなAIサービス創出がミッション

国内トップクラスの規模を誇るデータセンター業界のリーディングカンパニーであるアット東京。Amazon Web ServicesやAzure、Google Cloudといったメガクラウドをはじめ、さまざまなITサービスやデータセンターとの接続を通じて企業の要件に合わせたプライベート(閉域)環境を構築できる相互接続プラットフォーム「ATBeX」(アットベックス/AT TOKYO Business eXchange)など、多彩なコネクティビティサービスを提供し、実績を拡大してきた。

同社において、データセンターに関連した新たなAIサービスの創出をミッションとしているのが、AI戦略本部 デジタル統括部 次世代サービス開発グループである。同グループのマネージャーを務める押尾氏は、「当グループはChatGPTが登場した2022年に立ち上がった組織で、社内向けの生成AI基盤ならびに、それを利用したAIチャットアプリを開発し、全社公開して評価試験を行っている過程にあります」と語る。

もちろん同グループが担っているのは、単に社内ツールの整備だけではない。「日々お客様から寄せられる多様な問い合わせへの自動対応など、顧客体験向上に寄与するAIエージェント型サービスの開発を目指しています」と押尾氏は強調する。

閉域環境での「MCPサーバーとAIエージェント開発環境」構築を阻む壁

もっとも、上述したミッションを達成するためには、多くの技術課題をクリアしなければならない。同社はすでに、MicrosoftのAzure OpenAI ServiceをAIサービスの運用基盤として活用しており、また、AIエージェント開発において特に重要な鍵を握るプラットフォームとして位置づけているのが、「Microsoft Foundry」である。

Microsoft Foundryは、モデルのリストアップやデプロイ、知識インデックス管理などの機能を統合したAI開発環境である。その中でも同社が注目したのが、AIエージェント型サービスの開発に必要な機能を提供する「Foundry Agent Service」である。

さらに、サービスの開発にあたってもう1つ欠かせない技術がMCPサーバーである。MCP(Model Context Protocol)とは、LLM(大規模言語モデル)が外部ツールやデータソースと安全かつ構造化された形で連携するための標準プロトコルであり、MCPサーバーは自然言語のプロンプトを通じてさまざまな外部サービスやAPIとの操作を仲介する役割を担う。

多様なサービスとAIの接続にあたって個別実装を避け、効率的なAIエージェント開発を進めていく上で、同社にとって急務だったのがこれら2つの技術を採用した開発基盤だ。実際に、次世代サービス開発グループではこれらの技術を個別に検証していたものの、その使いこなしは容易ではないと感じたという。

次世代サービス開発グループの小栗氏は、「MCPサーバーについては社内のローカル環境ですでに検証済みだったのですが、それを同クラウド環境上でいかに適切に動作させるかが課題でした。当社ではAI開発をATBeXで閉域接続されたAzure環境上で行っているのですが、この構成にMCPサーバーを組み込んだ際に、ローカル上とは挙動が変わってしまう事象が見られ、その対応に苦慮していました」と振り返る。

認証の課題を解消し、実戦的な開発環境へ。
APCの構築支援と「体系的なトレーニング」の成果

この技術的ハードルを乗り越えるため、同社がサポートを依頼したのがAPCである。

「以前から、Azure関連の技術的な疑問点をインターネット検索すると、APCの技術ブログがヒットして助けられたことが多々ありました。そんな個人的な経験からも、APCの技術力には信頼感があり、リスペクトしていました」と小栗氏は語る。

さらに、「実はATBeXのサービス展開に関してもAPCに協力をいただいた経緯があり、その手厚いサポートにも高い信頼感がありました」と押尾氏が続ける。

こうしてAPCから支援を受けることになったのが、Azure上でのリモートMCPサーバー構築とMicrosoft Foundryに関する実践トレーニングである。

次世代サービス開発グループの三澤氏は、「MCPサーバーは新しい技術だけにドキュメントも散在しており、習得に苦労していました。そうした中でAPCから受けた体系的なトレーニングはとてもわかりやすく、全体像の理解が深まりました」と評価する。

加えて、APCの環境構築支援は、わずか1ヶ月程度の期間で、ATBeXの閉域環境下におけるMicrosoft FoundryやMCPサーバー運用時の技術的なギャップ解消に大きく貢献した。

「長らく悩んでいた閉域環境におけるユーザー認証の課題を解決するほか、ClineやGitHub Copilotなど主要なAIコーディングツールとの連携を重視した検証環境の構築、本番環境への移行まで、多岐にわたるノウハウを得ることができました」(小栗氏)

本番レベルの開発基盤を構築。Bicepによる自動化で「自走できる」体制を確立

こうしてAPCからの支援のもと、アット東京ではATBeXにより閉域接続されたAzure環境上で、Microsoft FoundryとMCPサーバーをベースとしたAIエージェント開発基盤の構築を実現。

開発基盤ではあるが、単なる検証目的の最低限の環境設定ではなく、セキュリティやガバナンスなども含め、すでに本番稼働レベルに達しており、今後も継続して使っていけるような状態を確立している。Microsoft Foundryもまだ国内では活用事例が少ない中、こうしたアット東京の取り組みは、AIエージェント開発における革新的な実践になった。

「今回構築した環境上には、インターネット検索と連携したMCPサーバーを立ち上げ、Visual Studio CodeやCopilot Studioといったクライアントツールからもアクセス可能です。こうしたサービスは他のソリューションでも可能ですが、コスト面とサービス内容の兼ね合いなどでなかなか投資に踏み切れないことが多々ありました。しかし、今回は非常にパフォーマンスの高い開発環境が整備されたことは1つの成果であり、エンジニアの利用も拡大しています」(押尾氏)

さらに、環境をただ構築しただけでなく、今後アット東京側だけでも運用していけるように配慮がなされている。具体的には、Azure環境のリソースをIaCで管理する「Bicep」を用いて環境が構築され、そのためのドキュメンテーションの品質に対してもアット東京は高く評価している。

「Bicepで構築していただいたおかげで手動では困難だった環境設定の自動化が可能となり、AIエージェント開発の基盤構築から維持管理まで、今後さまざまなプロセスの効率化に役立つと考えています」(三澤氏)

AIでなければ実現できない革新的な体験価値の創出へ

AIエージェント開発を加速させる環境を得たアット東京では、今後本題となる実務へのサービス展開も引き続き尽力していく構えだ。直近では、まず社内業務の変革に貢献するAIエージェントを投入していくとしている。

「社内に蓄積された膨大なナレッジを横断的に検索し、的確な回答を返すサービスの開発を進めています。次のステップとして計画しているのは、見積書や請求書などの帳票を自動生成して業務を効率化するサービスの提供です」(小栗氏)

さらにその先に描いているのが、同社のデータセンターサービスを利用する顧客に向けた革新的なサービスの構想である。

「弊社データセンターでは、サーバーラック、分電盤、空調などのセンターの設備や、サーバー、ネットワーク機器の稼働状況をインターネット経由でモニタリングできる『@EYE(アットアイ)』というサービスを提供しています。このサービスとAPI連携することで、お客様が自然言語で設備の稼働状態を確認したり、カスタマーポータルからの入館申請を代行したりすることもAIエージェントの技術で十分可能になります。もちろんこれはさまざまなアイデアのほんの一部に過ぎません。これまで誰も考えていなかったデータセンターの新サービス、AIを活用しなければ実現できない革新的な体験価値を創出していきます」(押尾氏)

そうした中では必然的に、さまざまな新たな技術課題も持ち上がってくることになる。

「今後、社内には複数のMCPサーバーが立ち上がることも予想されます。また、AIエージェントそのものも、多様な部署や業務で乱立していくことになるでしょう。これらをどのように制御していくべきかという課題に対して、今の段階から適切なオーケストレーションの仕組みを検討しておく必要があると感じています」と小栗氏は語り、APCの継続的な技術サポートへの期待を寄せている。

株式会社アット東京

所在地:東京都江東区豊洲5-6-36
2000年の設立以来、信頼性の高い電力供給、優れた耐震性を誇る施設、光ファイバーネットワーク、キャリアニュートラルな通信環境などの設備インフラとともに、プロフェッショナルな社員の技術力による「24時間365日ノーダウンオペレーション」を実現し、世界最高水準のデータセンターサービスを提供してきた。近年はクラウドコンピューティングやAI、5G、IoTなどのテクノロジーを活用し、さまざまな社会課題を解決する新たなサービスを生み出している。
https://www.attokyo.co.jp/

インタビュー実施日:2025年11月25日