CASEエクネス株式会社 様

システムの状態を可視化し、成長事業を支える「攻めの運用監視」へ
伴走支援で切り拓いた、Datadog活用による内製化への道 エクネス株式会社 様

福井県鯖江市に本社を置くエクネス株式会社(以下、エクネス)は、ロボットレターを中核としたレターテック事業と、規格外野菜を定期配送するサブスクリプションサービス「ロスヘル」によるフードロス事業を二本柱に展開しています。フードロス事業のシステム運用体制の整備が課題となっていた同社は、エーピーコミュニケーションズ(以下、APC)の伴走支援のもと、クラウド上のシステムを統合監視する「Datadog」を導入。単なる監視ツール導入ではなく、自社に運用ノウハウを蓄積する内製化を目指したこの取り組みについて、同社 イノベーティブソリューション部の緑川様、藤嶌様に話を伺いました。

Point

  • Datadogの導入とAPCの伴走支援により、システム状況の可視化と監視・運用体制の整備を推進
  • WBSの作成や運用を見据えたタグ設計、ペアプログラミング形式のミーティングなど、内製化に向けた手厚い支援でノウハウを蓄積
  • APM(アプリケーション性能監視)活用で根拠に基づくスピーディな意思決定が可能に。障害調査時間の大幅な短縮と、コストを抑えた基盤強化を同時に実現

エクネス株式会社

エクネス株式会社
イノベーティブソリューション部
緑川哲史様、藤嶌伊音様

レターテックとフードロスの2つの事業を技術で支える
イノベーティブソリューション部

経営コンサルティング会社として福井県鯖江市に創業したエクネス。越前和紙にロボットが手書きでメッセージを綴る「ロボットレター」を軸としたレターテック事業で成長を遂げた同社では、近年新たな事業の柱として「日本の食品ロスをゼロに近づける」ことを目指すフードロス事業に注力している。

「傷がある、大きさがバラバラ」といった理由で廃棄されてしまう規格外野菜を集め、全国のユーザーに低価格で提供するサブスクリプション型サービス「ロスヘル」を展開。顧客の増加とともに採算性は着実に改善し、事業拡大を見据える段階に入っている。

こうした挑戦的なビジネスを、技術面で支えているのがイノベーティブソリューション部である。同部 部長の緑川哲史氏は、「レターテックとフードロスの両事業で必要なアプリケーションをAWS上で開発・提供するほか、コーポレート部門のバックオフィス支援も担っています。特にフードロス事業に関しては、ロスヘル事業の出荷センターにある冷蔵設備やマテリアルハンドリング機器など、5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)を軸とした現場基盤の整備も私たちの担当です」と語る。

新規開発を最優先する裏で後回しになった運用
深刻化する属人化と原因特定の難しさ

ただ、成長フェーズにあったフードロス事業では新規機能の開発が最優先とされ、運用面はどうしても後回しになっていた。
同社 イノベーティブソリューション部 システム開発チームの藤嶌伊音氏は、「各システムからはログを取得していたのですが、そこから障害の予兆や異常に気づく仕組みが整っていませんでした。何か問題が起こったときに初めて確認する、という後手に回った運用が常態化していたのです」と振り返る。
アラートが上がったとしても、そこから原因を特定して修正するまでに時間がかかり、顧客から問い合わせを受けて、初めて「システムが正常に動いていない」ことに気づくこともあったという。
こうした状況が積み重なった結果、障害対応や原因調査は藤嶌氏に集中し属人化していた。ブラックボックス化が進んだことで、AWSのCloudWatchだけでは原因特定が難しくなり、障害発生時に他部門へ状況をうまく説明できないという課題もあった。

Datadogの導入・内製化を支えたAPCの伴走支援

こうした課題を抜本的に解決すべく、同社が導入したのがオブザーバビリティとセキュリティの統合プラットフォーム「Datadog」である。
「2025年に開催されたAWS Summitに参加した際に、Datadogのブースに立ち寄ったのがきっかけです。とはいえ、監視の仕組みを自力で設計・構築するのは難しく、専門家のサポートが不可欠だと感じていました。そんな課題を抱えていたところに、伴走支援を行ってくれるAPCを紹介されたことが、導入への大きな後押しとなりました」(藤嶌氏)

その一方で、同社が強く望んだのが「内製化」である。
「Datadogの導入を丸ごと任せてしまうのではなく、そこから得られる知見を全社的な共有ナレッジとして蓄積し、最終的には自分たちでシステム監視の運用を回せる状態を作りたいと考えていました」(藤嶌氏)

「まずはフードロス事業からDatadogの活用をスタートしましたが、続けてレターテック事業への横展開も控えていますし、さらには新事業の展開もあり得ます。そうした中で、すべて外部任せにしてしまうのでは芸がなく、自分たちでいかようにも展開できるようになりたいという思いがありました」と緑川氏も、内製化にこだわった理由を示す。

WBS作成から運用に生きるタグ設計まで
内製化を見据えた導入プロセス

システム監視の内製化への第一歩は、ノウハウを組織で共有できる状態をつくることだ。
「そのためには、まず私自身がDatadogや監視の仕組みをきちんと理解できるようになる必要があります。その上で、周りのメンバーにもノウハウを広げていきたいという思いが根底にありました」(藤嶌氏)

こうして始まった伴走支援では、まずAPCがWBSを作成してやるべきタスクを一覧化した。何をどの順番で進めるべきかが整理されたことで、Datadogの導入プロジェクト全体の見通しが立てやすくなったという。特に印象に残っているのが、監視対象を整理・分類するためのタグ設計だ。APCはエクネスのシステム構成を把握した上で、運用で有効に活用できるタグのあり方を提案した。
「APCからさまざまな失敗談を交えて教えてもらいながら、運用で有効に使えるタグ設計に落とし込むことができました。最初から中途半端な命名のまま進めてしまった結果、後から支障をきたすという事態を避けられたのは大きかったです」と藤嶌氏。この経験は、Datadogに限らずシステム開発チーム全体で曖昧になっていた、タグや命名の考え方そのものを見直すきっかけにもなった。
また、Datadogの公式ドキュメントは英語が中心で、自分たちだけで読み解きながら導入を進めるのはハードルが高い部分もあった。そこでAPCの担当者と2週間に1回、2時間ほどのミーティングを設定。一つの画面を見ながら実際に手を動かして作業する、いわばペアプログラミングのようなスタイルで支援が進められた。
「実際に手を動かしながら学べたことで、実践的なスキルを習得することができました。たとえばアラート設定について、どのような数値を取得すべきかといった設定値の考え方を実務に即して教えてもらうなど、APCには多くの場面で助けられました」(藤嶌氏)

40時間の調査が数分へ
「気づける運用」とデータに基づく意思決定が可能に

伴走支援を経て、Datadogは同社のシステム監視に大きな改善をもたらしている。「以前、あるインシデントの調査と対応に40時間近くを要したことがありました。仮に同様のケースでも、Datadogが導入された現在は、それこそ数分で異常を察知し、迅速に対処することができます。これは特に劇的な例ですが、通常のインシデント対応においても、費やす時間は体感で数十分の1に短縮されています」(藤嶌氏)

とりわけ高く評価しているのが、APM(アプリケーション性能監視)機能だ。
「以前は『システムの処理が遅い、遅延している』と指摘を受けても、これまでの経験から当たりをつけて対応するしかありませんでした。今はAPMの画面を見れば、どの処理で、どれくらいの遅延が発生しているのか、根拠を持ったデータとして把握できます」(藤嶌氏)

アラートについても、Datadog上で設定し、Slackへの通知まで連携できる。ダッシュボード機能も直感的な操作で柔軟に作成できる使いやすさがあり、今後は経営陣や各事業部の担当者に向けたダッシュボードを提供していく考えだ。
さらにDatadogの導入効果は、システム投資に対する意思決定のスピード向上という形でも表れている。
「Datadogで収集・可視化したログやAPMのデータを見ることで、AWS環境におけるシステムの
負荷状況を実測値として把握し、そのデータを根拠に、リソース増強が必要であることを経営陣に説明できます。さらに、増強に伴うコスト試算もあわせて示せたことで、社内承認までスムーズに進められました。このように感覚ではなくデータに基づいて意思決定ができるようになったことで、事業の展開スピード向上に寄与しています。」(藤嶌氏)

部門を越え、全社の共通言語となる監視基盤へ

今後のDatadogの運用体制について、同社が掲げるのは、部門ごとに分断された情報の壁をなくす、いわゆる「サイロを壊す」という目標だ。
「属人化した部分はまだ残っており、非エンジニアの社員も含めた全員でシステムを監視する習慣を作っていきたいと考えています。まずはビジネスサイドにどういう数値を見たいのかをヒアリングしたり、勉強会を開いたりしながら、同じ画面を見ながら議論できる環境づくりを進めていきます」(藤嶌氏)
「さまざまなシステムの高いサービスレベルを維持するため、Datadogを社内の共通言語にしていくイメージです」(緑川氏)

実際にDatadogを操作できるメンバーは着実に増えており、アラートのURLを共有するだけで状況を伝えられるようになったことも、部門間コミュニケーションの負担軽減につながっている。
その先では、社内ネットワーク機器の監視にもDatadogを活用し、「Datadogを見ればすべて把握できる」状態を目指している。事業や部門をまたいで同じデータを共有し、異常の早期発見から迅速な意思決定、継続的な改善までを一気通貫で進める体制を目指す。それにより、フードロス事業やレターテック事業、さらには将来の新規事業の展開と成長を支える、より強固なシステム運用基盤の確立を図っていく考えだ。

当社エンジニア 加藤からのコメント
今回の支援では、Datadogの操作方法をご説明するだけでなく、ペアプログラミングの形式でソースコードの編集まで一緒に手を動かしました。監視設定やダッシュボードについても、モデルとなるものを当社で作成し、それをエクネス様に横展開いただく形をとることで、仕組みをお伝えしながら実践していただけるよう工夫しています。監視の内容も、リソース監視のような一般的な項目に加え、システム固有のエラーログやUXに影響のある部分など『Datadogだからこそできる』領域の監視をご提案し、共同で設定を行いました。現在は藤嶌様がDatadogに関する各種設定や導入対応を行える状態になり、他のメンバーの方へ横展開できる段階まで来たと考えています。今後もDatadogと連携しながら、お客様のオブザーバビリティの実現とセキュリティ向上を支援していきます。

左から Datadog 髙橋氏、藤嶌氏、緑川氏、当社エンジニア加藤

エクネス株式会社

エクネス株式会社

所在地:福井県鯖江市上河端町36-4-3

2018年3月の設立以来、越前和紙にロボットが手書きでメッセージを綴る「ロボットレター」を中核としたレターテック事業と、規格外野菜を定期配送するフードロス事業「ロスヘル」を二本柱に展開。ビジネスを手段として環境保護を促し、地球環境課題を解決することをミッションに掲げ、持続可能な社会の発展に貢献するとともに、全メンバーの物心両面の幸福実現を目指している。

https://www.exness.co.jp/

ロスが減る 地球にやさしい野菜定期便「ロスヘル」
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インタビュー実施日:2026年7月22日